現在、経営再建中の家電メーカー『シャープ』。この度、国内外の全社員に自社製品の購入を要請する「シャープ製品愛用運動」を開始することが明らかとなった。具体的に目安の金額が定められており、事実上のノルマではないか、と報じられている。
“ノルマ” という文字にネガティブな印象がついて回るが、自分たちで開発し、販売している製品なのだから、さすがに愛着がゼロではない……はず。ということで、実際に購入し「良かったなぁ」と感じたシャープ製品を、元シャープ社員に聞いてみた。
元シャープ社員のヤマダ・マイケルさん(仮)。ヤマダ・マイケルさんの在職時代は数字としての “ノルマ” はなかったが、自社製品を購入していたそう。そのなかで「買ってよかったシャープ製品」を教えてもらったぞ。
【元シャープ社員に聞いた買って良かったシャープ製品】
・【その1】最強端末だった『ザウルス』
「いわゆるPDA端末。様々な機種が開発されているが、バックアップデータを他機種で復旧するといった軟弱機能は存在しない。そのため新しいザウルスを買うということは、また一から育てることを厭わない気概が求められるのだ。
ただ育成作業は、ザウルスが持つ無限の可能性を感じることができるため、苦悩とともに新たな幸せを体験することができる(そして大体が苦悩)。
ノートパソコンが大きく重い時代、私は外国の田舎を旅する際のメール作業に、モジュラージャック付きザウルスを活用していた。手のひらサイズの便利な奴で、最強端末だった。まぁ今はスマホで十分なのだが……」
・【その2】特定の言葉を入力するとフリーズする伝説ガラケー / 最悪データ消失
「ただのバグなのか? それとも技術者の反乱なのか? この件は一時期話題になったが、今も謎のままだ。機種名はあえて伏せるが、こういうストーリ性のある端末が個人的に好き。『なんか色々あったんだろうなぁ』と思わせてくれる電化製品なんて、なかなかお目にかかれない。ただし、データ消えるのは笑えない。真実を知りたい」
・【その3】早すぎた国産スマホと呼ばれる『ZERO3』
「こいつでちょいと電話を掛ければ、周りの視線を独り占め。レンガのような体躯ではあるが、ドラマ『24 ‐TWENTY FOUR‐』に出てくる工作員気分を満遍なく味わえる一品。キーボードが “ビュン !” とスライディングして出てくるのもカッコイイ。
だが、WILLCOM と契約しないといけないというハードルの高さ。もう、ミス・カリフォルニア並みに手の届きにくい存在だった。そして、もし仮にミス・カリフォルニアと知り合えても、どう接すれば良いか困惑してしまうだろう。そうだ、ZERO3もそんな奴だった。使う人間を全力で選んでくる製品になんて、なかなか出会えない。お気に入り」
・【その4】冷蔵庫『どっちもドア』
「片開きなのに、左右どちらからでも開く『どっちもドア』。引っ越しや模様替えの度に、冷蔵庫のドアの開け方ごときに悩まされている自分が嫌だった。『どっちもドア』はそんな自分を変えてくれた。ありがとう」
……とのことだった。残念ながら、ZERO3とザウルスはすでに生産終了している。スマホやタブレットに取って変わられた感はあるものの、ユーザーからはいまだに愛されている製品だ。また、10年くらい前なら液晶もシャープがダントツだったし、うーん、こう見ると先駆け的な商品がたくさんあったんだなぁ。
現在はシャープを退職したというヤマダ・マイケルさんだが、そのコメントから製品への愛を感じたのは私だけだろうか? そしてヤマダ・マイケルさんは、シャープ製品について最後にこのように話していた。
「シャープに入ろうと思ったのも、去るという決断をさせてくれたのも、シャープ製品のお陰だと思っています。ありがとうシャープ! 目の付け所がシャープ! 私は今、幸せです!!」
参考リンク:毎日新聞、シャープ「どっちもドア」
Report:沢井メグ
Photo:Rocketnews24.
▼こちらがヤマダ・マイケルさんのお気に入りのZERO3! 早すぎた国産スマホだ