アンダースロー投手といえば……往年の選手では、元阪急ブレーブスの山田久志投手や、元南海ホークスの杉浦忠投手らがおり、最近では西武ライオンズ所属の牧田和久投手の活躍が記憶に新しい。
しかし、なんといってもアンダースローを語る上で外せないのは「ミスターサブマリン」こと千葉ロッテマリーンズ所属の渡辺俊介投手だろう。そのピッチングは「もはや芸術」と言われるほどに美しい。何がどう美しいのかは、動画「渡辺俊介のアンダースロー」を見れば一目瞭然だ!!
・超低空からのリリース
渡辺俊介選手のアンダースローといえば、とにかくリリースポイントが低いのが特長である。その高さは「地面から5センチ」ともいわれており、不調だと手をマウンドに擦ることもある。また、グッと沈んだ時に右足が地面に擦れてしまうため、膝にパットを入れているという。
・美しく芸術的な投球
ゆったりとしたフォームから地を這うボール、しなやかに振る腕はため息が出るほど美しい。超人的に柔らかい身体、並外れたバランス感覚、そして身体を支える強靭な下半身……そこから繰り出すスムーズな一連の流れは無駄がなく、見ていて惚れ惚れする。
直球の球速は130キロに満たないものの、変化球と緩急を駆使して、打者のタイミングを外す。そんな一級品の駆け引きから打ち取る投球はもはや芸術的である。
・国際舞台に強いアンダースロー
渡辺俊介投手は2006、2009年WBCで日本代表に選出され、危なげないピッチングを披露。外国人選手を浮き上がるボールで手玉にとった。また、2013年WBCでは同じアンダースローの牧田投手が抑えを任され、ピシャリと抑えたピッチングは記憶に新しい。
対戦経験のない打者はすぐに対応することが難しいため、国際舞台でアンダースローは日本の大きな武器となった。
・アンダースローが希少になった理由
古くからあるフォームのアンダースローだが、日本球界でも投げる投手は数少なくなった。その理由として、他のフォームに比べると肘や足腰に負担がかかりやすく、選手生命に関わると危惧されていることがある。それに加え、アンダースローを教えられる指導者がいないということもネックになっている。
近年、勝ち星に恵まれていない渡辺俊介投手だが、タイミングを外して打ち取る投球スタイルはまだまだ健在だ。アンダースローの魅力を引き出し、その系譜を繋いでいく活躍を期待したい。