「好きという気持ちに理由はない!」、まるでドラマか映画に出てきそうな言葉ですが、うんうん確かにそうかもと納得させられてしまいますよね。もちろん、「優しい性格が好き」、「顔が好み」、「価値観が合う」など、項目ごとに理由はあることでしょう。しかし、異性を好きになる感情は、「優しいから好き」という単純なものではないはずです。優しい人なら誰でもいいわけではないですからね。
一方で「好き」という気持ちがなくなる時にも、理由が伴わないことがあります。「特にこれといった理由はないんだけど、好きという気持ちがなくなった」というケースです。そんな時、人間はどういう行動をとるものなのでしょうか?
・自然消滅に委ねる人
全員にあてはまるわけではありませんが、事態を自然消滅に委ねようとする人は非常に多いです。徐々にメールや電話が減り、会うことにも消極的になり、話し合いの場を設けることなくフェイドアウト。当然、フラれた側は混乱します。思い当たる節もないのに、一方的にシャッターをおろされたのですから、たまったもんじゃありません。そして、「せめてきちんと言葉で『別れよう』と言ってほしかった」という結論に達します。ごもっともですよね。
・キライになったわけではない
フッた側の言い分としては、「好きという気持ちがなくなったことに理由がないので、なんて説明したらいいかわからなかったから自然消滅させてしまった」といったところなのでしょう。「キライになったわけではないんだけど、好きって気持ちがなくなったから別れよう」などと言って、相手が納得するわけもなく、「別れたくない!」と泣きつかれるのは目に見えています。好きという気持ちがなくなった相手と揉め事を起こすのは面倒なもの。また、相手に非がないということは、自分が悪者になるのは明らか。そこで、卑怯であることは承知のうえで、自然消滅に事態を委ねるのです。
・イチイチ理由をつける
私たちはつい、物事に理由をつけたがります。就職試験でも、「志望動機」と称して理由を述べることが当たり前となっていますし、買い物の際も「安いから買おう」、「流行っているから買おう」など、無意識のうちにいちいち理由づけしていることがありますよね。
・別れの理由がないのは、懸賞システムと同じ
しかし世の中には、理由がない物事も確かに存在します。たとえば、視聴者プレゼントや読者プレゼント。ハズれたことに、特に理由はないはずです。また、ほとんどの懸賞は「当選者の発表は、賞品の発送をもって代えさせて頂きます」というシステムが主流ですよね。自然消滅を謀った貴方の元・恋人も、同じスタンスなのでしょう。「落選の理由は特になし。落選者には通知しない」という懸賞システム同様に、「好きじゃなくなったという気持ちに特に理由はない。別れの通知もしない」と。
残念ではありますが、ご縁がなかったというだけのこと。諦めて、さっさと次に進むのが賢明でしょう。
恋愛コラムニスト:菊池美佳子 Twitter / ブログ
イラスト: マミヤ狂四郎