イマドキ婚活女子は、誰よりも良縁を求めて、全国の縁結びにご利益のある神社やお寺にせっせと通っている。縁結びならまだ微笑ましい。だがその逆、「縁切り」にご利益がある神社やお寺に足しげく通う女性たちもいるのだ。
京都・祇園にほど近い安井金毘羅宮は、縁切り縁結びにご利益があるとされる。だが、いつも縁切りのほうがクローズアップされがち。そして実際に足を運んでみると、平日なのに女性がたくさん、しかもドロドロの愛憎劇が繰り広げられる、まさにパワースポットだった。
まず、神社の鳥居をくぐる。鳥居にしっかり「悪縁を切り良縁を結ぶ祈願所」とある。そして少し歩くと、奥の方になにやら白い物体が見えてきた。近づくと、石に白いお札が何層にもビッシリと貼られていて、なんとも不気味。これこそが“縁切り縁結び石”で、高さ1.5m、幅3m。紙の形代に願い事を書いて穴をくぐると、その願い事がかなうという。
とりあえず、差し障りのない願い事を書いてその穴をくぐって見た。身長160cmの標準体型の記者でも、とてもせまくてくぐるのも一苦労。表からくぐると縁切り、裏からくぐると縁結びになるといわれ、最後に石にベタッと貼る。気付いたら、穴をくぐるのが“順番待ち”状態で、しかも当時、全員が女性だったことにちょっと驚く。
そして、絵馬が奉納されている場所に行ってみた。見てみると、いろいろな願い事が書かれてある。「長年の病気との縁が切れますように」「貧乏な生活から縁を切って下さい」などなら、まだよかった。だがその絵馬のほとんどが“恋愛がらみ”だということにすぐ気付く。「夫の不倫相手をこの世から消し去ってください」「彼の奥さんがいなくなりますように」「夫さえいなければ幸せです」など、男女間のトラブルをビッシリと記した絵馬がなんと多いことか!
中には「●●と●●を別れさせてください!」など、はっきり実名が書かれた絵馬もチラホラ見かけた。まるでその絵馬を書いた女性の怨念が伝わってくるようだった。そして境内を見渡すとやはり女性ばかり。あの人はいったいここに何を願いにきているのだろうか、思わず勘ぐりたいような、そうでないような。
ちなみに、安井金毘羅宮がなぜ縁切りにご利益があるのかというと、主祭神として祀る崇徳上皇が讃岐国へ配流された時、金刀比羅宮(香川県)にいっさいの欲を断ち切って参籠(おこもり)され、この故事にならって「何かを断つ」ことの祈願所として信仰され始めたのがルーツとされる。
念のため、ここの縁切り縁結びは恋愛だけではない。病気、酒、タバコ、借金、ギャンブルでもOKだ。
■ 安井金毘羅宮
住所:〒605-0823 京都市東山区東大路松原(清水道)北西
電話:075-561-5127
拝観:境内自由
Photo by Rocket News24 Staff / 本誌記者撮影