隣近所のいざこざのごとく、ねちねちと争いが続いているスイスとリビア。まだまだ続くのか、もうじき解決するのか。スイス政府を悩ませるリビアの指導者、カダフィ。
ことの始まりは、昨年の夏。カダフィの息子とその妻がスイス・ジュネーブで逮捕されたことが発端。召使に乱暴を働いたというのが逮捕の理由だ。保釈金を払いリビアに帰ったが、逮捕されたことに怒りが収まらないカダフィ一家。数日後、報復としてリビアで働いているスイス人2人が逮捕、拘束された。10日後に釈放となったが、リビアを出ることを許されないまま今日に至っている。
そして、先週、スイス連邦大統領がリビアに飛び、「自国(スイス)の対応は間違っていた」とカダフィにお詫びをしているシーンがテレビで流れた。青天の霹靂と言えるこの出来事。政治家も国民もビックリすると同時に、なぜ謝るのかという怒りと非難。「取りあえず、足止めをくってる2人のスイス人が帰って来るのであれば、しょうがないか」という意見も一方であるのだが・・・。
さらにテレビでは「スイス政府専用機がリビアの首都、トリポリに送られ、2人のスイス人を乗せて戻ってくる」と報道したが、待てど暮らせど帰って来ない。そうこうしているうちに政府専用のジェットがスイスに戻ってきた。しかし戻ってきたのは、足止めをくってるスイス人2人の荷物だけ。
これは、「民間人が政府専用のジェットで飛ぶのはおかしい」というリビア側の主張で、スイス政府のジェットは、トリポリを飛び発つしかなかったようだ。民間人がなぜ政府専用機で飛ぶのかという、リビアの主張にも確かに一理あるが、だまってそれに乗せて返しても不都合はなかったはず。あえてそれをせずに、定期便で帰るようにと言うあたりが、ねちねちといたぶってる感を与える。
それでは、定期便で帰って来たのかというと、実はまだリビアで足止めをくってるスイス人2人。今度は何が理由で足止めなのか?人質が戻って来ないのなら、何のために謝ったのかと、連邦大統領への非難が日に日に高まるスイス。いっぽうリビアでは最高指導者カダフィが、革命40周年を祝い盛大な祭りを催している。まだ当分は、カダフィに悩まされそうだ。