ロケットニュース24

【ヘルメット必須】甲府で最もヤバい秘境! 骨董・風林火山をたずねて Byクーロン黒沢

2019年9月29日

戦国時代、武田信玄が本拠地を構えた山梨県甲府市。かなたに険しい山々をのぞむ小川のほとりに、地元では知る人ぞ知るカオスな骨董品店がある。

甲府駅から徒歩30分。戦国を思わせる荒々しい「風林火山」の看板を掲げるピンクの建物。その周りには大量のゴ……、いや、商品がジェンガのごとく積み重なり、そよ風のひと吹きで倒壊してしまいそうな勢い。

商品はサーフボードだったり、巨大な臼だったり、おフランス風の彫刻だったり、山梨らしい囲炉裏のセットだったりとノンジャンル。それはそうと、入り口らしきものがどこにも見当たらない。どこから入ればいいんだ!

警報装置が鳴り出した!

困惑しながら、うず高く積まれた商品の山々を眺めていると、人ひとり、カニ歩きでようやく通れる程度のスキマを発見。恐る恐るそのスキマに入ると、左右ばかりか頭上にも商品が現れ、まさに骨董品のトンネル状態。さらに進むと正面に「手動式」と手書きの紙が貼られたガラスの自動ドアが出現。どうやらここが出入り口のようだ……。

アナグマの巣のような玄関から暗い店内を覗き込むと、昔のテレビやら鎧兜やらファミコンやら、グッチャグチャの骨董品が凄まじい集積度で積み重なり、見てはいけないものを見てしまったような、そんな恐怖さえ感じてしまう。

声をかけようか迷いつつ、そっとガラスに近づくと、突然鳴り出す電子音。ジリジリジリジリジリジリジリ!

しまった! 警報装置だ! 今だから言えるけど、このとき私は走って逃げたい衝動を必死で抑えていた。

しつこいブザー音を聞きながら、その場で硬直すること5分。もういい加減帰ろうかと真剣に思い始めた頃、店の奥から年配の男性が姿を現した。彼こそが風林火山の主、渡辺富雄さんである。

・客はぐちゃぐちゃの方が喜ぶんだよ

60年代から抜け出して来たような風貌の渡辺さんは、テレビや新聞をはじめ、メディアの露出経験も数え切れない地元の名士である。元々はサラリーマンだったが、強烈な骨董愛に突き動かされ、この道を極めるべく森羅万象を集めまくり、お客さんにも宝探しの感覚を味わってもらいたいと、あえてこのような見せ方にこだわるうち、こんな風になってしまった。

「取材? いいよ。中に入りなよ……」

気さくに招き入れてくれた渡辺さん。中の様子は文章よりも、写真を見ていただいた方がわかりやすいと思う……。足の踏み場もないというのはこのことで、自由になるのは幅50センチほどの通路のみ。アリさんになったような、下にも商品が転がっているため、二人がすれ違うときなど、ツイスターゲームさながらのポーズをとらねばならない。

「すごいですねえ! まるで映画の世界ですよ!」

私がなんとなく漏らした一言に、渡辺さんのスイッチがパチンと入ってしまったのか、それからたっぷり2時間。これがこれ、あれがこれと、マンツーマンで在庫品の解説をされることに……。

「あっちに国産第一号のテレビがあるんだよ。こっちきなよ」

そう言って、ズンズン奥へ進んで行く渡辺さん。スリムな身体で、私じゃ絶対入れないスキマもへっちゃら。それはそうと、見上げれば店中ジェンガのような有様で、頭の中の危険警報はさっきからフルボリュームで鳴りっぱなしだ。

「店長! ムリムリ! 絶対ムリ! これ、地震が来たらどうするんですか? きちんと対策してるんですか?」

すると渡辺さん、ニコニコしながらこう言った。

「大丈夫だよ。3.11のときもここにいたんだから」

まじかよ! というわけで、店内は掘り出し物だらけ! ただしお買い物の際は、頑丈なヘルメットを持参するよう強くお勧めします!

・今回ご紹介した施設の詳細データ

骨董 風林火山
住所 山梨県甲府市北新2-1-13
電話 055-251-3815
時間 10:00~17:00
休日 日曜日(要確認)

Report : クーロン黒沢
Photo : Rocketnews24.

▼橋の向こうの建物が風林火山だ!

▼店の前には(本人いわく)百万円の美術品も飾ってあるらしい!

▼サトちゃんもあった! ただし、ちょっと高かった。

▼このスキマに入ってゆく

▼スキマの先に現れる手動の自動ドア。ガラスの向こう側がお店だ

▼中の通路は幅50センチ程度。太った人は難儀するだろう

▼スリムな渡辺さんはモグラの穴のような店内をさっそうと行き来する

▼国産第一号のテレビで地デジ番組を見せてくれた。痩せてないと奥には入れない

▼サーフボードも売れるといいですね。ありがとうございました!

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日本、〒400-0005 山梨県甲府市北新2丁目1−13
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