ロケットニュース24

よいこの童話『ねことじじい』

2012年12月26日

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むかしむかし、あるところに身寄りのないじじいが住んでおりました。

じじいが山を降りていると、とおくから「にゃ~ にょ~」という鳴き声がきこえてきます。

「はて、なんのなきごえだろう?」とじじいが近づいてみると、山に捨てられた子ねこが鳴いておりました。

かわいそうにとおもったじじいは、子ねこを家につれてかえることにしました。

ねこはすぐにじじいになつき、じじいもさみしかった毎日が楽しくなりました。

すくすくとねこはそだち、じじいの倍以上の大きさになり、じじいもおおよろこび。「でっかくなったのう…」

そして数年後、じじいが山にしばかりに出かけると、持病の腰が悪化して歩けなくなってしまいました。するとなんということでしょう。ねこがじじいにこう語りかけます。

「おじいさん、わたしのこしをなでてみなさい」

いわれたとおりにじじいがねこのこしをなでると、なんということでしょう。みるみるうちに痛みがとれていき、じじいはたちまち元気になりました。

そしてまた時がたち、じじいも年をとったせいか風邪を引きやすくなりました。「のどが痛いのぅ…。」とじじいがいうと、またねこがじじいに語りかけてきました。

「おじいさん、わたしののどをなでなさい」

またいわれたとおりじじいがねこののどをなでると、痛みがすーっととれてじじいは大喜び。ですが、なぜかねこはあまりうれしそうではありません。

しばらくするとじじいは床にふせがちになり、あまり起きることはなくなりました。「ねこや、またわしのからだをなおしてくれないかのう」とじじいがいうと、ねこはじじいの上に乗り、こう語ります。

「おじいさん、わたしはもうあなたをなおすことはできないけれど、よりそうことはできます。さあ目をつぶって楽にして…」

じじいは言われたとおり目をつぶると、なんだかとっても楽であたたかい気持ちになってきました。

そしてめをさますと、すっかり元気になったじじいとねこはくものうえにいました。そしてそこで二人はずっと幸せに暮らしましたとさ。

おしまい。

(作 江田島平子

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