まだまだ波紋が広がり続けている神戸大学の男子学生によるホームレス襲撃事件について、ロケットニュース取材班は31日、現地取材を試みた。兵庫県神戸市中央区の阪急三宮駅周辺で取材をしたところ、新たな事実が発覚した。
取材班はまず、駅周辺で生活をするホームレスを探すために阪急三宮駅西口改札を出た。まったく土地勘がないため、改札にいた駅員にこの辺りでホームレスが居そうな場所を聞いたところ「この辺りでは、あまり見かけないが公園に行けば居るかもしれない」という回答が。そこで公園の場所を確認するべく、駅に隣接されている神戸市総合インフォメーションセンターへと足を運んだ。目的を尋ねられたので、ホームレスを探している旨を伝えると、そこの女性職員も「この辺りではあまり見かけない」と言う。
しかし、いくらなんでも歩いていれば出会うだろうと思い、ファッションビルや百貨店が立ち並ぶフラワーロードを歩く。すると、蛍光色のパーカーに身を包んだ2人の男性がチラシ配布をしていた。この2人は神戸市内の清掃などのボランティア活動をする「SOSの会」のメンバーで、偶然にも元ホームレスの体験を持っていた。
早速、事情を説明して問題の動画を見せると「この事件の現場は(阪急三宮駅の)東口の広場では」と即答。だが、「大阪や神戸で、最近そんな話は聞いたことがない。ホームレスの間では、あの場所は危険だから注意しようなどの情報が回ってくる。でも、そもそも東口の広場は若者が多く集まる場所。そんなところで寝るホームレスはいない」。
次に、2人が教えてくれた駅周辺のホームレスが集まる場所へ行った。そこで動画を見せて話を聞いたホームレスの男性も「あんな人が多い場所で寝るわけがない」と苦笑する。
今回の事件の現場と思われる阪急三宮駅東口の「さんきたアモーレ広場」は、丸く隆起したオブジェが配されていることから通称「おっぱい公園」や「こぶ山」と呼ばれる。周辺には飲食店や遊戯施設が軒を連ね、地下鉄の出入り口とも繋がっているため待ち合わせ場所として利用する人が多い。また神戸の若者の間では、“ナンパ”のスポットとしても有名だ。
現場と思われる場所に行ってみると、確かに待ち合わせをしているような雰囲気の若者の姿が多く見られる。近隣の風俗店で働く男性に聞くと、「西口の方ではたまに見かけるが、あの広場で寝ているホームレスは見たことがない。夜も人が多いし、寝るのは無理だと思う」。また、広場を良く利用するという20代の男性も「昼間に座っているのは見たことがある。でも夜は、さんちか(三宮の地下街)やセンター街(三宮のアーケード街)に行っていると思う」と話す。
ここまでの話を総括して考えると、当事者である男子学生の“自作自演”という主張が真実味を帯びてくる。夜に、あの場所で寝るホームレスがいないとすれば、今回の騒動は友だちの間での“お遊び”ということになる。
同事件は、神戸大学の男子学生が、寝ているホームレスに生卵を投げつけるシーンを撮影し人気SNS「mixi(ミクシー)」に動画をアップしていたことに端を発する。動画の説明文として「助走をつけ力投した生卵が顔面(口)に直撃。口から血が出ていました。ちなみにこれでも起きませんでした」と書き込みがされており、これを見たインターネットユーザーが憤慨。あまりにも暴力的で事件性もあるとしてブログや『2ちゃんねる』等のコミュニケーションサイトで注目を集めた。また、その男子学生は某大手電気メーカーの内定式で裏カジノをやったということも「mixi」に書きこんでおり、これも世間の怒りを買う結果になった。
その後、ウェブニュースだけではなくTBSや読売新聞、京都新聞までがこの事件に関して報道し、彼のバイト先や彼女、親、友だちなどにも飛び火し続けているのが現状だ。
事件が起こったと思われる「おっぱい公園」内の現場
昼間はこの広場でホームレスの姿をみかけることも
公募で決まったというステキな名前を持つ広場
広場には、こんな注意書きもあった
阪急三宮駅周辺でホームレスの姿を見かけることはあまりないそう
事件現場にほど近い阪急三宮駅東口
ボランティア「SOSの会」代表の柴木さん
道行く人にフライヤーを配る大川さん