植物を育てるのが壊滅的に苦手である。鉢植えや栽培キットを何度も試したが、発芽しなかったり、ヒョロヒョロと弱々しく伸びた末に枯れてしまうことを繰り返してきた。
ホラー映画によくある「花が枯れる家」じゃ……と家のせいにしたくなるが、筆者の力不足に他ならない。
これがたとえば長年飼っている猫なら、顔をみるだけで「吐きたそう」「これからウンチか」「食事にご不満?」などとわかるものである。その勘が植物に対しては完全に沈黙。生育が悪くても、水が多いのか少ないのか、栄養不足なのか過多なのか、さっぱりわからないのだ。
そんな筆者が、生まれて初めて植物の生命力に感動した「苔」についてお話ししたい。