hanten

証拠隠滅するためには、どうにかしておしっこを消さなければならない。だが、屈みながらハンカチやティッシュで床をフキフキしたら間違いなく怪しまれる。誰かに気付かれて番組が中断したら……と考えると、私はうかつに身動きがとれなくなった。

さて、どうしたものか……。なんなら「どうやっておしっこを消すか」をQ(問題)にして、坂上忍らに答えてもらいたかった。おそらくスタジオ内で、もっとも頭をフル回転させているのはこの私。ポクポクポクポク……そして……ついに、ひらめいた!!

johatu

蒸発。それしかないと。もちろん幼稚園生なので「じょうはつ」なんて言葉は知らないが、照明ガンガンでメチャクチャ暑くなっているスタジオ内の温度を逆手に取り、床に広がるおしっこを乾かして、あとかたもなく証拠を隠滅しようと画策したのだ。天才か。

buruburu

すぐに行動に移した。まずはクレープみたいな要領で、おしっこを靴底で “広く広く” 慣らした。上半身は固定させ、あたかも「どんQ」を楽しんでいるような表情を維持しながら、下半身だけをフル回転させ、慣らしに慣らして慣らしまくった。

narashi

たまに「よいしょ」と座りなおすフリをして、ベンチ下のおしっこをチラ確認。よーし、いいぞいいぞ……確実に「水たまり」ではなくなっている。「なぜか床が濡れている」くらいになっている。もっともっと広げれば、わりと短時間で消える……!

kakunin

ということで、隠滅作戦は「後方へ勢力拡大」へと進行。薄く伸ばしたおしっこを、できるだけ後ろへ、後ろへ……蹴り込むように、1mmでも、薄〜く、後方へ……と、もんじゃ焼きのように伸ばしに伸ばして伸ばしまくった。

keri

──と、その時!

kusa

後方に座るギャルらの声が聞こえたが、私は「坂上忍の回答に注目しています顔」をし続けた。しかしその間も、足だけは猛烈フル回転。それと同時に、全神経も足元に集中させていたので、このあたりの記憶は「おしっこ隠滅」しか覚えていない。

tron

そんな努力(迷惑)の甲斐あって、収録が終りを迎える頃には、ものの見事におしっこは消えていた。完璧に蒸発したのである。それよりなにより驚いたのは、グジョグジョに濡れていたズボンも乾いていたこと。それほどスタジオ内は暑かったのだ。

win

後日。ビデオ(ベータ)に録画しておいた同番組を確認すると、チラチラ小刻みに謎の動きをする幼稚園児が画面の端に映っていた。私の名前は羽鳥だが、その姿はまるで……水中では脚を必死に動かしつつも、優雅に水面にうかぶ白鳥のようだった。

Report:GO羽鳥
イラスト:マミヤ狂四郎
Photo:RocketNews24.