【検証】保育園が見つからないから「子連れ出社」したらこうなった / 待機児童問題の現実はこうなってるって話(2ページ目)

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今回、1日だけ子連れ出社を体験してみて、いくつかのハードルがあると感じた。ポイントごとに分けて解説したい。

・ハードルその1:「通勤」

言うまでもなく電車通勤の人は、ラッシュの時間帯に子連れ出社するのは厳しい……というか無理である。抱っこヒモはもちろん、ベビーカーなんて言語道断。「この時間にベビーカーで乗って来るなよ」という顔をされるし、こちらも「申し訳ないですぅぅぅううう」といたたまれない気持ちになる。

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わが社はフレックス制のため、10時以降の出社でもOKだから良かったが、8時9時出社の人は通勤だけで子連れ出社を諦めなければならないだろう。また、基本的にエスカレーターはベビーカー禁止なのでエレベーターを利用せねばならず、通常30分の通勤時間が45分ほどかかった。

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・ハードルその2:「通常業務」

うちの礼衣ちゃん(娘)は非常に大人しく、この日も1度ぐずっただけ。そのため通常通りの業務はこなせたが、ちょっと礼衣ちゃんが声を出したり動いたりするだけで、こちらが気になってしまうことが多々あった。つまり、集中しづらい環境ということだ。

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この日は1度だけ30分ほど寝てくれたが、勝負はそこのみ。致し方ないことだが、子連れ出社すると生産性にマイナスの影響があることは否めないだろう。ただし今回が初体験だったので、回数をこなせばある程度 “いつも通り” にもって行けるかもしれない。

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・ハードルその3:「ミーティング」

この日は2週に1度の社内MTGがあった日。普段なら1時間ほどで終わるMTGが、この日は最短記録の30分強で終了した。理由は “そこはかとなく” 皆が礼衣ちゃんを気にしていたからで、正直、ナイスアイディアも出にくい環境であった。

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社内MTGだから良かったものの、もしこれが取引先とのMTGだったらどうだったのだろう? 奇跡的に有意義な時間を持てるかもしれないが、子供の話題でフワッとMTGが終了する可能性が高かったように思う。

・ハードルその4:「会社の理解」

おそらくわが社は日本屈指の「柔軟な会社」だ。いつも誰かが脱いでいるし、子連れ出社の件を上司に伝えても「いいよ~」の2つ返事であった。理解という意味ではかなり環境に恵まれているが、残念ながらそういった会社の方が少ないのが現実だろう。

ちなみに「今日は1人で面倒を見る!」と意気込むよりも、わずかでも同僚に預けられる瞬間があるならば、預けた方がイイ。この日は正直メチャメチャ疲れた。ドッと疲れた。わずかでも子供を見てもらえる瞬間は、それがたった3分でも貴重だ。

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・ハードルその5:「己との葛藤」

1日出社体験後、社内で「気を使いましたか?」と尋ねたところ、多くのメンバーは「別に使ってない」と答えてくれた。この日の礼衣ちゃんは「マジで大人しいね」と言われるほど大人しくしていたが、私自身が「みんなに気を使わせてるんじゃないか?」と気を使った。

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実際に、デスクではなく会議室にこもって仕事もしたし、泣く気配が見えたら猛スピードで対応していたのでドッと疲れたのだろう。子供が動き回る年頃だったりした場合、子連れ出社のハードルがさらに高くなるのは言うまでもない。

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・結論

最期に1日出社してみた結論を述べよう。色々とハードルはある、ハードルはあるが「やってやれないことはない」というのが率直な感想だ。ただし、毎日は無理である。体力的にも精神的にも、娘を負荷と感じては意味がない。せいぜい月1くらいが限界だろう。

だが、月1回ならば、むしろ今後も子連れ出社したいと思った。夜8時には寝てしまう礼衣ちゃんと私が触れ合えるのは、毎日朝の1時間くらいだ。この日はたっぷり過ごせたから、父としての欲はかなり満たされた。

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さらに言うならば、私と礼衣ちゃんの絆も深まったように思う。誕生以来、おそらく初めての母親がいない私と礼衣ちゃんだけの時間。妻の大変さもよくわかった。そういう意味でも子連れ出社は一度試す価値があるに違いない。

これまで散々述べてきたが、ハードルは高いし多い。だが、子供の声がする会社なんて最高ではないか。環境が許すならば、ぜひ1度子連れ出社をオススメしたい。私自身、今後も月に1度程度は子連れ出社するつもりだ。……と同時に、いい保育園……そろそろ見つかってくれ。

Report:P.K.サンジュン
Photo:RocketNews24.

▼今後も月に1度くらいのペースで子連れ出社したい。
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