Q16:キャラクターによって、“中の人” の性格の傾向は違うものですか?
A16:“顔出し” のキャラクターなら、性格の傾向はあるかもしれない。スタッフ用の食堂で、エルサやアナなどの人プリンセスは、他のキャラクターたちを見下した感じでジロジロ眺めていることもあった。とても子供っぽい態度だ。

他にもブロードウェイのスターのように振る舞って、周囲から尊敬が得られないと機嫌を損ねるタイプもいた。でもそれはごく一部の例外で、顔出しもキャラクターも同じような感じだったよ。とても感じの良いスタッフもいた。

Q17:ディズニー・ワールドの地下通路ってどんな感じですか?
A17:退屈で、ちょっと臭い場所だよ。バックステージのツアーにやって来たお客さんがガッカリしていたのは、いい思い出だ。興味深い場所もあるけれど、ほとんどが巨大な舞台裏だ。

でも2つのレストランと床屋、ゴミを捨てるためのトンネルなんかがあった。あの場所は僕の家みたいなもので、もう2度と見ることができないのが寂しいよ。薄気味悪い場所ではあったけど。

Q18:2日後にディズニー・ワールドに行ってきます! なにかアドバイスはありますか?
A18:履き心地のいい靴を履くこと。あらかじめレストランを予約しておくこと。外での忙しい生活を忘れること。列に並んでいるときは、周囲の景色を楽しもう。人々を観察する良い機会だ。計画の半分も思い通りにならないことを覚えておこう。優先順位を決め、最もやりたいことは初日に済ませる。先延ばしはダメ。

行った先で色々なことを発見できるのが、ディズニー・ワールドの楽しいところ。列に並んでいる他のお客さんに、オススメを聞いてみるのもいい。友達もできるし、新たな発見だってある。グーフィーによろしくね!

Q19:ベラ役の女性を口説きたいのですが、どう誘えば、彼女が役になりきったまま答えてくれるでしょう?
A19:そんなことできないよ。お願いだからヤメてくれ。彼女たちはそうされるのが大嫌いなんだ。

▼プレスイベントでの一コマ

Q20:お客さんからされた “最も奇妙なリクエスト” は?
A20:写真を撮るときに、首を絞めてほしいと男性から頼まれたことがある(やらなかったけど)。でも変なことを頼んでくるお客さんは多いから、1つだけ思い出すのは難しいな。

Q21:親子のやり取りを見て、嫌な気持ちになったことはありますか?
A21:僕が “ハートの女王” に扮していたとき、大人が10代前半の少年を派手に殴っているのを目撃したことがある。そういったことには、決して口出ししてはいけないことになっていたから、その場を離れるしかなかった。

Q22:なぜディズニー・ワールドを辞めることになったんですか?
A22:ドナルドといざこざが起こって、クビになったんだ。僕がドナルドの帽子に落書きしたら、その “中の人” が怒ってしまった。そしてグリーティング施設「ピートズ・シリー・サイドショー」で、ドナルドが邪魔してきたんだ。

僕がドナルドを引きずって彼の持ち場に連れ戻そうとしたとき、飛び出してきた子供を転ばせてしまったんだ。子供に怪我はなく、お客さんからも苦情は出なかった。でもキャラクターを引きずったことを良く思わなかったディズニーの運営側が、僕を解雇したんだ。ツラかったよ。ドナルドも面白半分で怒っていたんだけど、ちょっと行き過ぎてしまったんだ。

Q23:同僚がクビになる様子を目の当たりにしたことはありますか?
A23:アテンダントにトランスジェンダーの女性がいたんだけど、ある日警察が彼女を連行していった。実はその女性は失踪した少女の父親で、身分を隠して働いていたことが分かったんだ。

あとティガー役のスタッフが、お客さんにチカン行為を働いて捕まったこともあった。ディズニーの名を傷つける行為で、新聞の一面も飾る騒動だった。その後なぜかそのスタッフはまたディズニー・ワールドで働くことになったんだけど、何年かしてまた同じことをして捕まっていた。

▼質問を呼びかける Ihaveanotheridentity さん

Q24:ストーカーに付きまとわれたことはありますか?
A24:2人の少女から、8カ月に渡ってストーキング行為を受けたことがある。毎日毎日、舞台での僕の演技を見にきていたんだ。僕の付き添いをしていたスタッフが、僕の知り合いだと思いこんで、彼女たちにうっかり僕の名前を明かしてしまったんだ。だからどの役に扮しても、僕であることが見破られた。

事態はエスカレートして、変な手紙も届くようになった。セキュリティが彼女たちと話したことで解放されたけど、楽しい子たちだったからちょっと懐かしくもあるな。

Q25:お客さんとの最低な思い出は?
A25:卒業する高校生が集まって夜通し騒ぐパーティー「Grad Nite」でのことだ。体の大きな学生の万引きを止めようとしたら、そいつに壁に押し付けられて「次に触ったら殺すぞ」と言われた。僕は笑って「お気をつけて」と返した。

もう1つは万引きした子供を捕まえて、その母親に報告したとき。母親はあまり事態が飲み込めていないようだった。

Q26:お客さんとの最高な思い出は?
A26:最高の思い出なら、数えきれないくらいあるよ。特に素晴らしかったのは、お客さんがキャラクターと会える「ミッキー・キャラクター・スポット」でのこと。年配の男性が列に並んでいたんだけど、人垣の後ろに立って、僕のほうを見ているだけだった。

でも20分後、男性は僕のところにやって来て「グーフィー、これを受け取ってほしい。僕の親友からだ」と言ったんだ。グーフィーの中からお客さんの姿をよく見ることができなかったけど、彼が涙をこらえている様子が声から伝わってきた。

そして彼は少し体を震わせてから、僕にハグをしてきた。僕はあのハグを決して忘れないよ。一生心に残るようなハグだったんだ。彼は僕の腕の中で涙を流していた。彼が僕にくれたのは、戦時中に捕虜となり、その後行方不明になった兵士の家族や友人に贈られるピンバッジだった。

▼総合案内所「ゲストリレーションズ」でも働いていたそう

Q27:着ぐるみを着ているとき、お客さんに話しかけることはあるの?
A27:絶対にダメ。舞台裏では何でもアリだったから、よく何も知らない新人に下品なジョークとか言っていたけど。

Q28:舞台裏であっても、着ぐるみの取り扱いについて厳重な決まりがあると聞きました。本当?
A28:僕が働き始めた頃はデジカメも普及していなかったし、そんなに厳しくなかった。でも今はスマホがあるからね。僕がこのサイトに載せたような “秘密の写真” を撮ろうとすれば、厳しく罰せられることになる。そうは言っても、多くの人がコッソリ写真を撮っていて、ネット上で検索すれば色々な画像が見つけられるはずだ。

昔はマネージャーたちが着ぐるみを着て、頭を外した状態でみんなと写真を撮る日なんかがあった。もう廃止されてしまったけどね。

Q29:どうやってキャラクターのオーディションは行われるの?
A29:普通のダンスオーディションと同じ感じだよ。でも「給仕するドナルドダック」とか「芝を刈るプルート」とか、キャラクターの動きをさせられるのが面白いところかな。

どのポジションに応募したかで、選考方法も違ってくる。数学のテストがあったり、たくさん面接があったり。かつてはディズニーで採用されるのは難しいことだったけれど、今ではそうではない。規模が大きくなりすぎたんだ。

▼ツアーガイドとしても働いていた頃

Q29:グーフィーに会えて興奮しまくったお客さんはいましたか?
A29:何人かいたよ。子供がおもらししちゃって、足が濡れたことも何度かある。熱心なファンにはね飛ばされたこともあった。

Q31:両方とも犬なのに、なぜプルートが犬小屋にいる間に、グーフィーはミッキーとゴルフをしていたりするの?
A31:グーフィーのほうが、ゴルフがうまいからさ。

Q32:ディズニーで働く上で最高なことは?
A32 :キャラクターに扮して、人を笑顔にさせること。その時に感じる気持ちは最高だよ。

Q33:私もディズニーで働いていたけれど、あなたが投稿した証拠写真にショックを受けました。こんなことして大丈夫?
A33:今もディズニーで働いていたなら、決して写真を投稿したりはしなかったよ。でもネットを探せば、同じような写真がたくさん載っているサイトもあるよね。 VIP向けツアー「バックステージ・マジック」では、参加者がミッキーの頭をかぶることもできる。ディズニーはかつての伝統に固執しなくなったし、お金にもなるしね。ショックな気持ちは分かるけど、魅惑的でもあるでしょ?

▼お客さんに “プリンセスのような手の振り方” を教えている様子

Q34:嫌なことがあっても、キャラクターとして屈託なくお客さんと接しなければいけませんよね。大変でしたか?
A34:キャラクターの中に隠れることができたから、嫌なことがあっても問題なかったよ。

Q35:グーフィーでいることを、家族や友人にも内緒にしていましたか?
A35:何をしているかは、誰にも言っていなかった。まあグーフィーとは良いお友達だったってことで。

Q36:キャラクターになりきっているときに、女性から誘われたことはありますか?
A36:特になかったと思う。

Q37:お客さんと写真を撮るときは、着ぐるみの中でも笑顔を作っているんですか?
A37:ほぼ毎回、笑顔になっていたよ。自分がキャラクターの中に入っているのを、忘れていることすらあった。

……「お客さんが、キャラクターのためにしてあげられることは?」など、残りの質疑応答は次ページ(その3)で!!