・病院へ

翌日の午前、私は大学病院の泌尿器科へ向かった。大学病院を選んだのは、「『精密検査を受けて下さい』とか『即入院して下さい』と言われた場合、大きい病院の方が便利かな」といった単純な考えからである。ビビリながらも、それなりに覚悟は決まっていたのだ。

そして、大学病院の待合室で、一昨日の自分の長〜〜〜〜〜〜〜い “ダブルエクレア” を彷彿とさせるような長〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜い待ち時間を経て、ようやく自分の番が来た。

・尿検査

「今日はどうしました?」と尋ねる男性医師に「実は血尿が出まして」と告げる。ああ、ついにこのセリフを言うことになるとは……。すると「あ、そう。じゃあとりあえず尿検査しますね。おしっこするのは苦しくない? 今、おしっこ出る? 結果はすぐに出ますので。検査の後、1時間後にまたお呼びします」と、淡々としたお答え。

こちらにとっては、覚悟を決めた上での「血尿宣言」だったが、医師からすれば血尿が出た人なんて今まで何人も診察してきたのだから、当然といえば当然だが、珍しくも何ともないのだろう。

それから紙コップを受け取り、昨日よりは少し薄まったものの、まだコーラ色の尿をその中へ注ぎ込む。色が黒くて、紙コップの内側にある目盛りがほぼ見えなくなった。

・検査結果

1時間後、また名前を呼ばれ、ドキドキしながら診察室へ。いよいよ結果が分かるのだ。私は検査結果の書類を確認している医師の顔をまともに見られずに、その椅子のキャスターをずっと見つめていた。

すると医師は突然「最近、激しい運動とかした?」とひと言。「はい、水泳を。今も筋肉痛で」と返すと……

「あ、それだわ。厳密に言うと、血尿ではないよ」とのお言葉。マジですか! 真っ暗だった視界に、急に10万ルクスくらいの明かりが差し込んできた。さらに、医師は「あなたの場合は放っておけば自然と治る」と言うではないか……!

・コーラ色の尿の原因は?

医師の説明によると、コーラ色の尿は「ミオグロビン尿」というもので、激しい運動をして筋肉に負担がかかると出るらしい。普段運動をしない人が、久しぶりに運動をした後に出ることが多いのだとか。

つまりコーラ色の尿が出た原因は、ジムで10年ぶりくらいに行った運動、いや私の普段の運動不足がそもそもの原因だったのだ。

・知らなかった人は覚えておこう

というわけで、私のように「ミオグロビン尿」を知らなかった人は、そういう尿があることを覚えておいた方がいいぞ。知っていれば無駄に焦ることもないし、現実を受け入れられないばかりに、トイレの検査費用として2万円以上も支払うような羽目にはならないだろうから。

執筆:和才雄一郎
Photo:RocketNews24.
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