GO羽鳥の無人島サバイバル(後編)その2
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ジャングルを駆け下りると、そこは真っ暗の海岸だった。もちろん、まわりには誰もいない。だが……何かの気配を確かに感じる。視線を感じる。“何か” が、いる……。そして、あたりをグルリと見回すと……! ギラリと光る4つの目が、ジーっと私を見ていたのだ。お互い、何者なのかは分からない。だが、じっと見つめ合う……。

・鳥目(とりめ)の羽鳥

なんとかして彼らを撮影してやろうと、自撮り棒にiPhone6をセット。動画を回して、画面越しに正体を突き止めようとした。というのも、私は鳥目(夜盲症)なので、暗いところが満足に見えないのだ。iPhone越しの画面のほうが、まだ見える。torime2

──と、その時、画面に映る「強い光」に、私は心を奪われた。その光の正体は……

星だった。煌々と輝く一番星だ。なんてキレイなんだろう……と静かに感動。しかし、「ギラリと光る4つの目」は星ではない。海岸わきの、茂みの中から見えたのだ。そして、その目は、もう見えなくなっていた。逃げちゃったか? ……と、その直後!!

「ホゥ」

と聞こえた。何の音だか不明だが、私はすかさず無意識的に「ホゥ」と返した。すると、なんと再び「ホゥ」が! おそらく鳴き声からしてフクロウであろう。となると、あの4つの目もフクロウだったのか……!? ともあれ、相手は鳥で、私は羽鳥。hukurouSession

そんな鳥思考になっている最中にも「ホゥ」……と来たらホゥ返し。ホゥ、ホゥ! 時には私が先で、フクロウが後。何度か「同時ホゥ」もあったりして、まるで気分はジャムセッション、もしくは即興ホゥホゥバトルだ。いいぞ……いい……最高だ……! スイングしている。通じあっている。大地と海と星と鳥と、私は一体になっていた。

・めっちゃ寒い

フクロウとの鳴き声バトルを満喫し、気分よくテントに戻ってきたが、あいにく食料は一切ない。さらに、やたらと風が吹いてきてメチャ寒い。テントに入っているのにガタガタ震えるレベルであり、とりあえずズボンを2枚履きしたけどまだ寒い。samui

寒い。寒い。とにかく寒い。こんな時には寝袋が大活躍するのだろうけれど、それもない。持ってきたのは飲料水(miu)と、さいとう・たかを先生の漫画『サバイバル』だけだ……と思ったら、ちょうど良い物があった! 阪神ファンのバイブル新聞、『デイリースポーツ』だ。一面には、大きく「ゴメス」の文字が輝いている。Gomez

こいつを布団代わりにしてみると……ガサガサ……ぁ……あったけぇ……(泣) 本当に暖かくて泣きそうになった。あったけぇ……たった2泊3日の無人島だったけど、最後の最後であったけぇ……。しかし翌朝、さらなる試練が私をKO寸前まで追い込んだ。
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雨である。まさか島を出る日に雨に降られるとは思わなかった。しかも、カッパもカサも持ってきていない! デイリースポーツは、もうグチャグチャ。誰か助けてくれ! 神様、仏様、ゴメス様……と、マウロ・ゴメス(阪神)に祈ったら雨がやんだ。

ソッコーでテントを片付け、すべての荷物を背負いながらラストチャンスの食料アタックへ向かった私。場所は、昨晩にフクロウとのセッションをした海岸だ。勝手にフクロウ海岸と名付けたい。最後の最後、ここで貝くらいはゲットしたい……。

──が! 潮干狩りを始めようとしたその瞬間、ザーザーと雨が降ってきやがった。それはまるで、無人島の神から「お前に食わせる食い物はねぇ!」と言われたような感じであり、もちろん探せど探せど貝はない。それでもビショビショになりながら熊手でザクザクと地面を引っ掻き回していると……私は、あるモノに心を奪われた。BeautifulSTONE

キレイな石が、そこにはあった。思わず「あ、きれいな石……」とつぶやくほどに、赤い星のように美しい石が、そこにはあった。私はその赤星石をバケツに入れ、「よし」と納得して桟橋(さんばし)に向かった。帰りの船が、もうすぐ来る!

何も食料をゲットしないで、一体何が「よし」なんだか意味不明だが、とにかく私は生き延びた。水(miu)があったから生き延びられた。もっとしっかりと準備をすれば、さらに充実した無人島ライフを満喫できたのかもしれないが、キレイな石が見つかったからヨシなのだ。今その赤星石は、私の部屋の神棚の上に、飾られている。

Report:GO羽鳥
Photo:RocketNews24.

▼GO羽鳥の無人島サバイバル(後編)フルバージョン

▼予告編

▼ゲットしたキレイな石


▼まつぼっくりの歌