野良猫たちが部屋に入ってくるようになり、次第に私との距離も縮まってきた。今では猫じゃらしで仲良く遊ぶことが出来る程だ。

しかし、それでも触ろうとするとすぐに逃げてしまう。猫たちに触りたい……。私に足りないものは何なのか、真剣に考えた。考えている時にふと猫たちを見ると、とても美味そうに餌を食べている。なんとも言えない恍惚の表情である。

「猫の餌を食べてみたい……」そんな思いが脳裏をよぎった。そうだ! 猫の餌を食べる事で、猫たちの気持ちがわかり、彼らに近づく事ができるのではないか!

その気持ちを養うために、実際に猫たちが食べている物を自分でも食べ、また一歩でも彼らに近づけるよう、努力することにした。

しかし猫のえさを食べてみるのは良いが、万が一まずそうな顔をしては猫たちの気持ちは到底わからない。できる限り上手く調理し、美味しく食べる事が必要だ。

そこで調理師の知り合いに相談し、猫のえさを本格的な和風パスタに仕上げるレシピを聞いた。これなら完璧である。作り方と材料は以下の通り。

<九条ねぎの和風パスタ ~キャラット仕立て~>
■材料
・パスタ(スパゲッティ1.6mm程度) 100グラム
・キャラットレトルトパック細かめフレーク かつお&しらす入り 1袋
・九条ねぎ 4分の1本
※なければ万能ねぎでも可
・刻みのり 適量
・にんにく 1片
・鷹の爪 1本
・オリーブオイル 大さじ2杯
・しょうゆ 小さじ2杯
・塩 適量

■作り方
1.大きめの鍋に水と塩を入れ、パスタを茹でる。塩の量は、お湯が薄いお吸い物の味になるぐらいが最適。茹で加減はパッケージに記載されている分数マイナス1分ぐらいが目安。

2.茹でている間にフライパンへオリーブオイルを入れ、つぶしたにんにくと種を抜いた鷹の爪を入れる。この時点ではフライパンを火にかけないこと。

3.2を極弱火にかけ、にんにくと鷹の爪の香りを抽出する。ここで九条ねぎを輪切りにしておこう。にんにくがきつね色になり、鷹の爪が若干黒ずんできたら取り出す。

4.3の中にキャラットレトルトパック細かめフレーク かつお&しらす入りと九条ねぎを投入。火加減を中火にし、木べらでよくかき混ぜる。

5.パスタが茹で上がる前に、具材と同量程度のゆで汁を4の中へ入れる。ここでフライパンを何回もゆすり、完全にソースを乳化させることでパスタと良く絡む美味しいソースとなる。

6.5にパスタと塩、醤油を入れ、ソースにとろみがつくまで水分を飛ばす。皿に盛り、お好みで刻み海苔をかけて完成。

実際に試食したところ、にんにくと鷹の爪の香りでほとんど臭みを感じる事なく、美味しく猫の餌を味わえた。九条ねぎと醤油との相性もベストだ。

更に今回使用したキャラットには、フレーク状のかつおとしらすが入っているので、ツナを単品で使ったパスタよりも濃厚な魚介の味わいを感じる事ができる。

これで猫の気持ちを少しはわかることができただろうか? 食後、近くにいた白猫を触ろうとすると、物凄い勢いで逃げられてしまった。まだまだ彼らと近づくには、努力が足りないようだ。彼らと触れ合える事ができるまで、猫のえさを食べて頑張ることにしよう。

(文・写真=佐藤英典)


もちろん皿は猫の餌を入れてるやつですよ。