窓の外から私の様子を伺っていたノラ猫が、部屋に居座るようになるのに、そう時間はかかりませんでした。何しろ1度は部屋に飛び込んできているので、抵抗がなかったのかも知れません。

窓を開けたまま仕事に没頭していると、私の気付かないうちに1匹が上がり込んで部屋の片隅で寝ているではありませんか。私は驚いて思わず「わああ!」と声を上げたにも関わらず、猫は目を覚まさなかったのです。

最初に上がり込んできたのは、背中は真っ黒でおなかが白い白黒柄の猫でした。部屋の隅に投げっぱなしだった枕の上にどっかりと腰を下ろし、半分おなかを見せて寝ています。部屋に上がってくることはないだろうと予測していたのですが、いきなりこのずうずうしさ。私は思わず笑ってしまいました。怖いもの知らずなんだなと。

あまりにも可愛らしい寝顔を見せているので、ふいになでてやりたい衝動に駆られ手を出したところ、突然飛び上がるように起きて、「シャー!」と警戒する鳴き声。次いで激しい猫パンチを繰り出して、外へと駆けて行ってしまったのです。私はなんだか女の子にフラれたような切ない気持ちになり、部屋の真ん中でひざを抱えてしまいました。その日、白黒猫は帰って来てはくれませんでした。

夜になって、やはりパソコンに向かっていると後ろで物音がしました。もしや帰って来てくれたのか? と思って振り返るとそこには別の猫の姿が。トラ柄の猫がカーテンの隙間からぬっと顔を出し、トコトコと上がり込むとドテッと部屋の隅に転がったのです。

「お前は初めてだよな」

返事がないのを承知で呼びかけると、つまらなさそうに大きなあくびをしてあっちを向いて寝てしまいました。そうして家の本来の住人である私を無視して、彼らは気の向いたときにやって来て、部屋の隅に転がって眠るようになったのです。それも常時4匹が居座り、ときには5~6匹にまでその数は増えていったのでした。

次回は、部屋にやって来る猫たちの特徴についてお伝えします。

写真:ロケットニュース24