応募総数3000以上! 第1回「迷惑メールアカデミー賞」発表 / 文学賞受賞作品『ある日気が付いたのです』など(その2)
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それでは、ここからは迷惑メール文学賞などを受賞した、秀作の迷惑メールをご紹介していきたい。なお、誤字脱字や改行などは、私(筆者)のほうで修正してみた。それではどうぞ。

【迷惑メール文学賞】

件名:ある日気が付いたのです
「私は数学を趣味にする者です。特に他に趣味は無く、町中にある色々な数字で遊んだり、関係性を見つけ出したりするのが好きな、ただの男でした。そんなある日、見つけてしまったのです。

それはふとしたきっかけでした。ネットで面白そうな数字を探していて偶然見つけたロト6過去の当選番号一覧。特に考えもなく眺めていた私の頭に電気が走りました。

見つけてしまったのです。数字の歪み、特異点を。

最初は偶然だろうと思い、さらに過去の数字も調べていくうちに、全ての番号に、ある一定の法則があることに気が付いたのです。私は誰にも言わずに、試しにその週のロト6を法則通りに購入しました。

結果は2等の2千3百万円でした。たまたま見つけた数字の法則通りに買って2千3百万円……手が震えました。

それからは仕事も辞めロト6の数字の研究に明け暮れました。それから2年。数えきれないほどの賞金を手にしたのです。ハッキリ言ってもうお金には興味ありません。人生を10回繰り返してもまだ余るほどのお金を手にしましたから。

私の今の望みは、今人生に苦労している人に幸せになってもらう事それだけです。それが私がこれはと思った方にこうやってメールを送らせてもらった理由です。選ばれた方どなたにも手軽に利用していただけるようにこのようなものを作りました。

http://(ロト6にかんする怪しい会員制サイトのURL)

どうかあなたの元に幸せがあらんことを願って……。」

・総評

まず、件名がいい。「ある日気が付いたのです」と言われたら、「え? 何を?」と、メールを開きたくなってしまう。さらに、送信者は「数学オタク」という設定だ。「数字の歪み」というキーワードも映画みたいでグッとくる。ダヴィンチコードのようなドキドキ感だ。

しかも彼の望みは、「人に幸せになってもらうこと」。それだけだ。もう金なんていらない。慈善に生きたい。そんな願いが込められているメッセージだが、彼の誘導する通りにサイトに行くと、きっと金をむしり取られて不幸になることだろう。そのギャップもいい。

【迷惑メール技あり賞】

件名:Re;電話ありましたが
「何のお話でしたか?」

・総評

なんと内容は、たったこれだけ! よくあるパターンだが、あまりにも短すぎるところにリアル感がある。ちなみに送信者は「サユリ」である。誰だサユリ。そんな知り合い、私にはいない。しかも微妙に上から目線。思わずこちらも「え?」である。

サユリが求めるのは、もちろん「返信」だ。返信したら「そのメールアドレスは生きている(カモ)」として、きっと存在するであろう「迷惑メール名簿」にリストアップされることだろう。やるなサユリ。最小限の動きで最大の効果を狙う、油断ならぬテクニシャンだ。

迷惑メールおまえが言うな賞、迷惑メール豆知識賞、迷惑メールエジソン賞の3作品は、次ページ(その3)に掲載したい。