・【感動巨編】ネットで彼女募集したら「彼女ができた」でござる!(その3)

3月21日。美々さんが神奈川住まいなので、みなとみらいで映画を見る約束をしていた。だが、よく思い出して欲しい。2018年3月21日、「春分の日」にあった出来事を。この日、震えあがった人も多いはずだ。


そう、都内近郊で雪が降ったのである。しかも、チラホラなんてもんじゃなかった。空を埋め尽くす雪・雪・雪。思わず、1月の歴史的寒波による大雪がフラッシュバックするレベルだ。

積もったら最悪電車が止まって帰れなくなる可能性も。美々さんによると、神奈川も吹雪いているとのことで、「本日は延期で……」的なオーラが流れ出す。オーマイゴッド……。

美々さんは、何年か前の大雪で電車に缶詰になったことがあるらしく、こちらが同じ状況に陥ることを心配しているようだ。しかし、延期になると次の予定は見えない。

何コレ、超会いたい。むしろ、今すぐ急激に会いたい。今日会えないのが猛烈に切ないんですが何コレ……と、そこで気づいた。気づいてしまった。


あ、これが好きってことか


──まだ、顔も見たことがないあなた。僕、あなたのことが好きみたいです。


この気持ちは会って直接伝えたい。ということで、延期にしない方向でゴリ押ししてみたところ……

「多くの路線が乗り入れている横浜だったら、何か止まっても帰る方法はあるかも」ということで、渋々承諾する美々さん。よっしゃー

電車に飛び乗り横浜に向かう。じりじり進む電車。ひと駅ひと駅がじれったい。電車の中でも横浜に向かって走りたいレベルだ。どこでもドア超欲しいぃぃぃ~~~~~!

着いた頃には雪もやんでいた。さっそく、LINEで連絡しながら美々さんとの待ち合わせ場所に向かう。すると、そこには携帯を耳にあてた女性の姿が。女性が話すと同時に私の携帯から同じ声が聞こえる。美々さんだ

背は低め、ショートカットでパッチリした目に目力がある。美々さんは、少年と見間違えるようなボーイッシュな女性だった。

電車の中では、会って速攻で告白しようと思っていた私。だが、実際目の前にすると、「タイミングってあるよな……」と空気を読んでしまい言うことができない。す……す……スリランカ行ったことある

そんな感じで空気を読んでいるうちに、映画も見終わりご飯も食べ終えてあっと言う間に帰る時間に。どんどん近づいてくる改札。何も言えなくて……春。綺麗な指してたんだね。知らなかったよ。今日となりにずっといたなんて信じられないのさ。

「またね」と手を振って歩き出す美々さん。あ……あ……ま、また……


ちょ待てよ


今日無理言ったのには理由があるんだけど……


──振り返る美々さん。


す、好きだから! 付き合ってください!!


…………


……………………


………………………………………


恐る恐る美々さんを見ると、グッと親指を立てている姿が目に飛び込んでくる。


「いいよ」



死んだ。いや、死ぬかと思った。ドキドキしすぎて。ちょっと自分でも引くくらいテンションが上がっていた。神よォォォオオオ! マジありがとぉぉぉーーーーーーー!!

──あれから数日が経ったが、彼女なんて半ば諦めていただけに、本当に付き合っているのか不安になることがある。あれは夢だったんじゃないだろうか……と。今は一刻も早く関係を深め積み上げていきたい。

これにて彼女募集は終了。最後に、彼女募集シリーズを楽しみにしていてくれた方、コメントで応援してくれた方、何より応募してくれた方々に感謝を。また、何か動きがあれば報告します。シリーズ「ネットで彼女募集」~完~

執筆・イラスト:中澤星児
Photo:Rocketnews24.
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