現在公開中の劇場版『チェンソーマン レゼ篇』の勢いが凄まじいことになっている。週末観客動員ランキングでは3週連続1位を記録。興行収入は45億円を突破しているという。

当初は映画館まで行く予定はなかったのだが、周囲の評判があまりにも良いため、軽い気持ちで観に行ってみることに。その結果、なぜか米津玄師に激しくブチギレる事態となった。

・待望の映像化

テレビアニメ第1期の続編にあたる『チェンソーマン レゼ篇』。原作コミックス5~6巻にかけて描かれる作中屈指の人気エピソード “レゼ篇” を映画化した作品である。

何を隠そう私(あひるねこ)は原作の大ファンで、一時期は「もうチェンソーマンしかもう愛せない!!」くらい心酔していた。しかし、第二部以降は少しずつその熱も冷めつつある。

劇場版をしばらくスルーしていたのもそのためだ。もしかしたら同じような理由から映画をまだ観ていない人もいるかもしれないが……結論から言ってしまうと、想像の1000倍くらいよかった。

・チェンソー様! 最強! 最高!

基本的には原作をなぞっているだけなのだが、原作を100点中120点とするなら、映画は軽く200点くらい叩き出していると言っていいだろう。とにかく主人公デンジとレゼが絡むすべてのシーンが完璧で素晴らしい。笑ったし燃えたし、悲しかった。

そして何より、レゼが可愛すぎる。さすがに常軌を逸しすぎている。もはや好きである。私の周りの席は20代くらいの男子が多かったが、おそらく私を含む全員がデンジと化していたはず。マキマさん助けて……!


原作以上になまめかしく、蠱惑的なレゼの御姿を拝めるだけでも、安くないチケット代を支払う価値は十二分にあるだろう。ところがだ……。


・異変

実は映画の超序盤で、私はかなりの窮地に追い込まれていた。ここから先、作品に没入することができるのかという強い危機感を覚えていた。なぜか?


映画は少年時代のデンジが路地裏を歩いているところから始まる。この時、私は自分の中に非常に厄介な “悪魔” がくすぶっている気配を感じ取っていた。そう、映画鑑賞において最大の障害となる、あの悪魔だ。

上映30分前に映画館に到着してまずは討伐。念のため、上映5分前にもう一度討伐しておいた。にもかかわらず、まだしぶとく生きていやがる。もうお分かりだろう。そう……


尿意の悪魔である──。


せっかくアキとパワーが登場したのに、私の意識の何パーセントかは自身の膀胱に持っていかれていた。いやいや、この程度ならきっと大丈夫! 観ているうちに忘れるさ!! さあ映画に集中だ。集中集中!

しかしその時、最悪な悪魔が降臨してしまう。爆弾の悪魔よりも、銃の悪魔よりも恐ろしい絶望的存在……。その名も米津玄師。



・まさに悪夢

『チェンソーマン レゼ篇』では、冒頭でテレビアニメのようなオープニングムービーが流れる。主題歌は皆さんご存じ、米津玄師『IRIS OUT』だ。

この映像は米津玄師の公式YouTubeチャンネル上でフルで公開されており、再生回数はすでに480万回を突破(2025年10月9日現在)。始まった瞬間、映画館で「うおおおおお!」と叫びたくなってしまったのは私だけではないだろう。


が!


その数秒後、私の体はだいぶヤバイことになっていた。正確に言うと『IRIS OUT』の重低音がエグすぎるあまり、その音圧に私の下腹部が耐えられなくなってきたのだ。

事前にイヤホンで何度か聴いていたが、こんなに四つ打ちが激しい曲だったか……? 2分30秒に渡って打ち鳴らされる「ドン! ドン! ドン! ドン!」という爆撃のようなビートに私の膀胱は決壊寸前。

ちなみに先述したオープニングムービーには、すでに作品を鑑賞済みと思われるユーザーたちから以下のようなコメントが寄せられている。


「がちで音でかすぎて神やった」


「音圧やばくて鳥肌凄かった」


「みんなコメントしてるけどiris outのこの重低音聴くだけで映画代のもととれたしダンシングポチタが可愛すぎた」


私も立川シネマシティ(東京)の『極音』上映で観たからか、まるでクラブのようなとんでもない低音だったぞ。と同時に、米津玄師にこの上なくブチギレたくなった。俺の膀胱をこれ以上刺激するんじゃねェェェェェェエエエエ!!


ただ、結果としてその後の展開に夢中になりすぎて、私を苦しめた尿意の悪魔はいつの間にか消滅。トイレに立つことは最後までなかった。なんなら余韻でしばらく席に座っていたくらいだ。チェンソー様、最強、最高……。



・ぜひ映画館で

好きな漫画のアニメ映画はこれまで何度も観てきて、記事にもしているが(呪術廻戦ブルージャイアント)、もしかしたら今回の『チェンソーマン レゼ篇』はその中でもベストに挙げられるかもしれない。正直かなり食らってしまった。

皆さんにもぜひ映画館でご覧いただきたいが、その際はくれぐれも米津玄師に注意するように。あの地を這うような重低音は、我々の内に巣食う悪魔を否が応でも呼び起こす──。

倒したと思っても決して油断しないことだ。いいな、忠告はしたぞ。

参考リンク:劇場版『チェンソーマン レゼ篇』
執筆:あひるねこ
Photo:RocketNews24.
ScreenShot:YouTube(iOS)

▼劇場に貼ってあった注意書き。

▼私の膀胱はこのオープニングムービーによって討伐されかけた。