この世には未知の食べ物がごまんとあることを承知しているが、それでもなお、想像を遥かに超えてくる不思議な食べ物に出会った。

まるで漫画『ONE PIECE(ワンピース)』に登場する、悪魔の実の如しそれは「キワーノ」。奇麗な黄色で、表面にはイボのようなものがボツボツと生えている。これは一体?? 


・あぶない雰囲気

『キワーノ』に出会ったのは、某道の駅。ひとつひとつ、ていねいにプラスチックの容器に入れられていた。手のひらよりも、ひと回りほど大きいだろうか。ひとつで税込390円とのこと。

冒頭に書いた通り、ビジュアルが異様で素通りしたくてもできない誘引力を持っている。真っ黄色でぶつぶつしているし、そもそもキワーノという名前の意味も皆目見当がつかない。

恐らく中身を食べるのだろうが、どのようなものが詰まっているのか。売り物でなければ、絶対に手を出してはならない部類の危険なにおいがする。

しかし、こうも「触ると怪我するぜ」と言わんばかりの見た目であるのは、逆に中身が美味しいことの現れであるのかもしれない。タコだってナマコだって、納豆だってそうだもの。

いずれにせよ果物コーナーに置いてあったのだから、れっきとした食用なのだろうし、口に入れてみないことにはわからないと買ってみることにした。


・食べてみた

持ち帰り、プラカップから取り出そうとキワーノを握ったところで、まずはじめの洗礼を受ける。まわりのイボのようなものが硬く、トゲトゲしているのだ。


カップに入っているのはてっきり、貴重な食材だからかと思っていたが違った。危ないからだ。安易に触ると、マジで怪我をしかねない。

キワーノ、恐ろしい子……!! トゲが刺さらないよう注意を払いつつ取りだし、包丁で半分にする。思いのほか外側は柔らかいようで、サックリと簡単に切ることが出来た。

そして中から飛び出したのは、若干閲覧注意と言えるだろう。緑色のゼリーのようなぷにぷにとした果肉と種で、細長いカエルの卵のようなのだ。お世辞にもビジュが良いとは言えない。


悪魔の実の如く、口に入れたら何かしらの力が発現しそうではあるが、ナンジャコリャ。

種は取り除くのだろうか、わからないがスプーンですくって、取り敢えず種ごとぷにぷにと一緒に口に放り込んでみた。しかしながら、食べたところで不思議さは増すばかり。


言うなればメロンの種とその周りに、より弾力を持たせたような食感だ。種をいちいち取りだすのは面倒なので飲んでしまったが、それが正解かどうかはわからない。

味はウリ科によくある、青臭い感じ。甘みはほとんどなく、少しだけライムのような酸味がある。お世辞にも、美味しくてタマラナイ……とは言えそうにない。


食べ続けていると、次第にキュウリに近づいていく感じがする。どうすればキワーノの魅力を最大限に引き出せるかわからないまま、ただただ衝撃を受けている間に完食してしまった。

検索したところ食物繊維が多く、マグネシウムの含有率が果物の中ではトップクラスであるらしい。

再び見かけることがあっても、しばらくは手に取らないだろうな、と言うのが率直な感想ではある。しかし1度は経験として、キワーノに触れてみるのはアリだとは思う。

執筆:K.Masami
Photo:Rocketnews24.

▼捨てる際、危なくないようにトゲを取ったらこんな感じ