2025年6月末に、京都発祥のラーメンチェーン「天下一品」の首都圏の店舗が大量閉店した。それに先立って2024年6月に閉店した歌舞伎町のお店は、三田製麺所に生まれ変わっている。

そのほかの店舗はどうなったのか? というと、新しいラーメンチェーンの「伍福軒」が出店することになった。それも今日(2025年7月15日)と明日で、10軒が同時にオープンするのである。

どんなお店か確かめるために吉祥寺店を利用すると共に、明日オープンの新宿西口のお店の様子を見に行ったところ、その近くに驚くべき貼り紙を見つけた。これは……。

・10店同時オープン

伍福軒を運営するのは、三田製麺所や渋谷餃子を手掛ける「株式会社エムピーキッチン」だ。実はこの会社がフランチャイズで一部の天一を運営していたのだが、都内の店舗を6月に閉店し、この度、伍福軒にリニューアルしたのである。

15・16日の間にオープンするのは、目黒・吉祥寺・田町・大船・池袋西口・渋谷・川崎・新宿西口・蒲田・大宮東口の10軒だ。


本日11時にオープンする吉祥寺店に来てみた。確かにこの場所は、以前天一だった。


開店5分前で、約10人の列が出来上がっている。その最後尾につくと、入店まで約10分待つことに。


お店の看板メニューは「背脂黒醤油ラーメン」。通常税込790円のこの商品が、開店から5日間は並盛1杯税込500円で販売される。それから「背脂黒ヤキメシ」(並盛税込910円)も売りのひとつとのこと。


そのほかラーメンとヤキメシの定食や、唐揚げ・餃子を組み合わせた定食も用意されている。


入店時に配布されたチラシには、次回以降使えるクーポンがついている。


さらに入店して着席すると、次回使える50円引きクーポンをもらえた。新ブランドの開業なので、あの手この手でリピートしてもらおうという気概がうかがえる。


卓上には、おろしにんにくや辛味噌などの各種調味料が並んでおり、そのなかで珍しいものを発見した。


それは、たくあんだ。定食があるとはいえ、白ご飯がメインではないので、ラーメン屋にたくあんは珍しい気がするな。


・背脂黒ラーメン

さて、私が注文したのは、並盛背脂黒醤油ラーメンとハーフサイズの背脂黒ヤキメシがセットになった「背脂黒ヤキメシ定食」(税込910円)である。着席から提供まで10~15分程度、営業初日の1巡目にしては、かなり提供が早い気がする。

初日だと、たいていのお店は混乱してオーダーが滞るのが常だ。その点、ここはしっかりとしたオペレーションが組まれていると感じる。


ラーメンは黒醤油というだけあって、スープは真っ黒。雰囲気としては京都の黒ラーメンに近いかも。


かえしのベースに播磨龍野の天然醸造濃口醤油を使用しているそうで、スープは醤油辛さが際立つ。一瞬、「辛!」と思うのだが、あとからシイタケや昆布の旨味がジワリと口の中に広がる。


麺は細麺で、やはり京都ラーメンの影響を感じさせるものがある。異なる点は豚の旨味と背脂だろう。見た目に反してあっさりした味が特徴の京都ラーメンに対して、こちらは見た目通りに味が濃い。だが、富山ブラックのようなコショウ辛さはなく、醤油の辛さが味を印象付けている。


・たくあんの使いどころ

続いてヤキメシ。こちらもまた播磨龍野の濃口醤油で仕上げているそうだ。


背脂黒醤油ラーメンの相性を考えて味付けしているので、当然ながら2つは良く合う。


先ほど卓上にあったたくあんはどう使うべきか? 悩みどころではあったが、ためしにラーメンに入れてみると、これが意外と良く合った。たくあんの酸味と食感が、濃い味の中で絶妙なアクセントになるので、適度に使うことをおすすめしたい。

初めての味で少々戸惑ったが、卓上調味料を駆使すれば自分流の美味しさにアレンジできそうだ。辛味噌やおろしにんにく、ラー油やコショウなどを交えて、オリジナリティを高めるのもアリかもしれない。


・この貼り紙は……

10店舗同時オープンとのことだったので、気になって新宿西口の様子を見に来てみたところ、こちらもすでに伍福軒として、開業準備が整っている。明日には一気に10店舗での営業体勢が整うようだ。

新宿西口店を確認して帰ろうとしたところ、こんな貼り紙が目に入った。


「オープニングスタッフ募集 6月末に閉店した旧天下一品で働かれていた方は、その時給からスタートできます!」


え? 閉店で辞めることになった人たちを呼び戻しているの!? 伍福軒として開業することが決まっていたのなら、そのまま残ってもらえばよかったのに、なんでこうなったんだろう……。

とにかく10店舗同時オープンの伍福軒は、天下一品の後釜として定着するのだろうか? これからが気になるところだ。


・今回訪問した店舗の情報

店名 伍福軒 吉祥寺店
住所 東京都武蔵野市吉祥寺南町1-3-3 第1通南ビル1F
時間 11:00~翌3:00 日曜11:00~23:00
※ 2025年7月15~19日のみ 2部制11:00~13:00、18:00~20:00

参考リンク:伍福軒エムピーキッチンPRTIMES
執筆:佐藤英典
Photo:Rocketnews24