先日訪れたIKEAはクリスマスムード一色であった。IKEAはスウェーデンの企業なので、そりゃ12月を前に浮かれポンチになるのも理解できる。しかしながら、ただ家具を買いに来ただけのアラフォー独身女性たる私にとって、少しもの寂しさを感じさせる雰囲気ではあった。

「さっさと家具を買って帰ろう」そう思いトボトボとレジへ向かったところ、食品コーナーに超カワイらしい “お菓子の家” が展示されているのを見つけた。値札を何度見返しても「599円」と書かれている気がするのだが……そんなことって、ありえます??

・あった

問題の商品は『ヴィンテルサーガ ジンジャーブレッドハウス』といって、IKEA冬の定番商品らしい。北欧ではクリスマスにジンジャークッキーを食べる習慣があるのだそうで、IKEAでは他にも様々なジンジャークッキーが展開されていた。知りませんでした。

「本当にこれ1つでお菓子の家が完成するのか?」とお店の方に尋ねたところ、別売りのシュガーパウダー(他メーカーのものでもOK)も必要とのこと。しかしこの2つがあれば、マジでお菓子の家が完成するのだそうな。若干半信半疑のまま、飾り用のアルファベットビスケット(299円)も一緒に購入してみた。円安の件を忘れそうになるほど安い。

それじゃ、YouTuber風にお菓子の家を組み立てていきたいと思いマ〜ス!


・最初は少し後悔する

こちらが『ヴィンテルサーガ ジンジャーブレッドハウス』の全貌。

「板が6枚あれば最低限度の “家” が完成する」……ここへきて私は、ようやくその事実に気づいた。

なおシュガーパウダーを液化させるのに卵白を使うので、正確には必要材料に「卵1個」がプラスされる。グジャグジャ混ぜたらそれっぽい感じに!

そのシュガーパウダー液を接着剤にしてお菓子の家を組み立てていくワケなのだが……

予想通り、あっというまに崩れてしまった。粘着力が弱いのである。

よって部品を手で支えつつ液の硬化をジッと待つ必要があった。これは想像より長期戦になるな……。



・だんだん楽しくなってくる

悪戦苦闘のすえ、どうにか外枠が自立してくれた。

想像の100倍くらいベチャベチャだが、もはやそんなんどうでもいい。家っぽくなってさえくれれば。

このとき、私は自分がギャルだったころを思い出していた。つけまつげ用の「のり」は塗った直後だとほぼ粘着力が無いが、時間が経つにつれて強度を増していく。シュガーパウダー液も同じだ。「固まるか・固まらないかのギリ境目」を見抜くことが重要なのである。

煙突部分が固まるのを待つ間、アルファベットビスケットで家をデコるなど。メッチャおいしいとかではないが、この量とカワイさで299円は価格破壊。

この頃になるとコツが分かってきて、あっという間に完成に近づいてゆく。

スーパーで買ってきたカラフルお菓子たちでオリジナルデコにも挑戦してみよう。

メチャメチャ楽しくなってきている自分がいる。いつのまにか背景が夜Ver.になっていることにもご注目いただけると幸いだ。


そんなこんなで完成したのが……



コレ!!!!!


すごくない!? 初めてなのにコレ、すごくないか!?



・そして満ちる幸福

完成したお菓子の家はシュガーパウダーの乱用によりドゥルンドゥルンの様相を呈していたものの、それが逆に “雪っぽさ” を演出するというミラクルも同時進行していた。


なんか、それっぽすぎて死にそう!!!!


「ドアの存在に気づかず裏側を正面玄関に設定してしまう」といったミスはあったが、完全に許容範囲内である。この垂れ下がったシュガー液、ツララっぽくてたまんない。

「ジャーーーン!」とばかりに披露してみせれば、編集部全体が幸せのオーラに満ちたことはいうまでもない。クリスマス最高! お菓子の家最高ォォォオオオ!!!!

お菓子の家完成までに要した時間は3時間弱。作業机は見るも無惨だったが、きっと誰もが「そんなのマジどうでもいい」って気持ちになると思う。1人で作業したアラフォー独身女性の私がそうだったのだから、ご家族やカップルで作れば、制作過程そのものも楽しいイベントになるんじゃないかな?



最後におさらいしておくと、IKEA『ヴィンテルサーガ ジンジャーブレッドハウス』を組み立てるのに最低限必要なのは「キット本体」「シュガーパウダー」「卵1個」の3点。これで1000円弱。プラスでデコりたい勢は好みのお菓子を購入するとして、それでもせいぜい2000円くらいだろう。

たった2000円ポッチでこれほどの多幸感を得られるのなら、あまりに安いと言わざるをえない。この幸せをお裾分けせんがため、お菓子の家は(私の独断で)当事務所内に数日間展示されることになった。クリスマスがどうとか関係なく、子供のころお菓子の家に憧れたことのある人( = 全人類)は一度やってみるべし!

執筆:亀沢郁奈
Photo:RocketNews24.

▼おいしくいただきました