2024年9月27日にグランドオープンを迎えた「温泉バルコニー キング&クイーン」。東京都東久留米市の『スパジアム・ジャポン』の系列店で「関東最大級の温浴施設」を銘打つこの施設は、お風呂好きの間でちょっとした注目を集めている。

というわけで、サウナに入るのが趣味の私(中澤)も行ってみた。場所は所沢。最寄り駅は西武鉄道小手指駅なので渋谷からも45分くらい。休日の日帰りリトルトリップにもちょうど良い。

・デカすぎる

西武線と並行に走る国道463号線沿いにある「キング&クイーン」。駅からは少し離れたロードサイドだが、無料シャトルバスが出ている。スケジュールは1時間に1~2本くらいで朝は8時台から夜は23時台まであるので、ロードサイドとは言え行くのはあまり苦ではない。

それにしても、とんでもない大きさだ。最初、国道から見た時は『ゴープラ』というパチンコ屋越しに見えたので、奥に同じくらいの建物があるという印象で、それでも施設としては充分大きいと思うサイズ感だったのだが……

実は、裏側ではゴープラの端まで「キング&クイーン」が続いている。デカすぎてどこから撮っても全景が収まらねェェェエエエ!

・中の様子

中に入ると、入泉料は平日大人950円、レンタルタオルは300円。さらに+1000円で岩盤浴もつけられるようだ。私は岩盤浴なしで1250円で入場。

入ると、まずフードコート兼リラックススペースのような場所が広がっている。この時点ですでにイオンモールみたいになってる。

そこを越えると、廊下があった。この道を行けばどうなるものか。先に何があるのか気になるほどの長さである。リゾートホテルの廊下みたいだ。

その中腹には大浴場に入口があった。つまり、大浴場はこの廊下の長さ分の広さがあるわけだ。やっぱり広い。

広すぎるので、まずは大浴場以外を見てみよう。廊下の先には休憩処やマッサージ、ゲームセンターがある。端からバルコニーに出られるようになっていて外には噴水があった。その噴水を見るようにパラソルとか椅子が置かれており、リゾート感がある。

・2階、3階

建物内に戻って2階に上がってみると、フードコートとマンガ喫茶のようなスペースとなっていた。ただ、マンガ喫茶は岩盤浴利用者しか入れない様子。それにしても、グルメが充実している。

2階のフードコートではボンディのカレーとか有名店のメニューがラインナップされていた。スーパー銭湯でグルメを推している店は多いけど、有名店メニューがここまで並んでいるのは珍しい。

3階は最上階で屋上にも出られる感じ。大浴場の後リラックスタイムに良さそう。ただし……

屋上の大半は岩盤浴エリアとなっている。テントの中にソファとかが用意されてて凄く良さそう。間違いない。ここで1日過ごすつもりなら岩盤浴チケットを買った方が良いだろう。この建物自体がリゾートという感じだ。

・大浴場

さて。全体はこんなもんだと思うので大浴場に行ってみよう。大浴場は内風呂に大きい炭酸泉があって、その炭酸泉の中に炭酸ヘッドマッサージ風呂がある。これは寝ころび湯の頭部分が足湯みたいになっているような形。窓際にあるので、日向ぼっこしながらの炭酸ヘッドスパがとにかく気持ち良かった。

露天風呂にもシルク風呂や天然温泉があってその湯舟の充実度はやはり広いだけある。ただ、特筆すべきはサウナだろう。

サウナは、塩サウナ、フィンランドサウナ、ハーブスチームサウナの3種類あって、さらには水風呂も3種類。普通の水風呂、部屋になった凍水風呂、露天にも水風呂があった。サウナも水風呂もどれからどう入ろうか迷うレベルの豊富さ。しかも部屋の水風呂のところには「凍水風呂-20℃」と書かれていて微妙に正体不明な怖さもある。


・水風呂3個

そこでまずは様子を見ながら1セット回ってみたところ、普通の水風呂は水温20度との表示、露天の水風呂もそれくらいだったのだが、こちらはどちらかと言うと入り方が特徴だ。水風呂のところに「レッツダイブ」的なことが書かれており、みんなプールみたいに飛び込んで入っている。

試しに飛び込んでみたところ、足がつかない深さで頭までどっぷり浸かれる。水深が2mあるらしい。エンタメ性だけじゃなく、普通に良いなこの水風呂。

残るのは-20℃と書かれた最も謎多き部屋水風呂だが、入ってみると、室内にシングル用の水風呂があって、水温は9度の表示であった。その水風呂の周りに椅子が置かれているので「-20℃」は室温についての表示のようだ。

とは言え、入ってみた感じ室内の温度は-20℃という寒さではなかったので、外気-20℃の部屋という意味なのだと思われる。まあ、超簡易で北海道外気浴の環境を味わえる部屋と考えると良いのではないだろうか。冬の登別でやった外気浴の方が冷えてた。

・サウナ室3つ

水風呂はそんなところで個人的には露天の水風呂が非常に良かった。さて、問題はサウナ室。弱、中、強で例えるなら、塩サウナが弱、ハーブスチームサウナが中、フィンランドサウナが強ということになる。中でもフィンランドサウナはかなり特殊だ。

その名も「富士山溶岩ロウリュサウナ」。このサウナはなんと7段あるのだ。これまでサウナ室で高さにあまり着目してこなかったけど、7段もあるサウナは初めてだ。温度計も高さによって3つついていて、1番下から80度、90度、100度を指しているのだが……

最上段はその一番上の温度計よりも高い位置にある。ちなみに、ストーブは最下段にあって、オートロウリュが30分に1回行われる様子。造りから見ても最上段は凄いことになってそうだ。

その証拠に、室内には、最上段は熱さがヤバイので熟練の人でも気をつけてください的な注意書きがある。ただ、私もライターという性質上、こういう灼熱サウナには慣れている方だと思う。110度の登別の鬼サウナとか、128度の木更津「つぼや」とかも大丈夫だったし。


・7段目に座ってみた

というわけで、気になったところにストレートに行こう。いきなり7段目に座ってみたところ、確かに熱いのだが耐えられないレベルではない。

気温よりもむしろ、絨毯が熱くて足の裏がやけどしそうだ。まあ、これは鬼サウナでもつぼやでもそうだったので、超高音サウナにつきものの現象と言えるだろう。「サウナ室は肌がビリビリ痛くてなんぼ!」という人はアリか? まだこの時まではそう思っていたのだが……

オートロウリュが始まった瞬間、熱さに刺されている感じが倍になった。舐めてた。下からの熱が全て溜まるから、ロウリュによる体感の熱度の上がり方も尋常ではない。息ができないくらい熱い。

正直、初めてギブアップした。100度超えサウナで普通にととのってきた私だけど、これは無理。元々、熱いことに快感を見出すタイプではないから、ロウリュの途中でスパッと外に出た。

・もっとヤバイ場所

7段目はひょっとしたらロウリュじゃない時に座る場所なのかもしれない。ロウリュ時は逆にサウナと思えないレベル。別の種類の極端な健康法をしているように感じるくらいの熱さだった。

むしろ、他の場所はちゃんとロウリュ時もサウナなんだろうか? それを検証せずにはいられないほどの熱さだったので、次は向かって左手の5段目に座ってみた。しかし、結論から言うと、ここは7段目よりもヤバかった。

7段目ではロウリュの石に水がかかったミストでもうギブしてしまったのだが、ここのロウリュはそれを越えると部屋の上部についたブロワーから熱風が噴き出す。いわゆる自動アウフグースシステムなのだが、これが部屋の空気を循環させるとかそんなレベルの強さではない。

そして、そのブロワーが直撃するのが私が2回目に座った場所だったのである。ウアちゃァァァアアアァァァアアア!!!

いや、体全体に叩きつける熱風はもう熱いなんてレベルじゃない。肌や顔が痛いのはもちろん、一番痛いのは乳首。どういう原理なのか乳首が取れそうなほどに痛い。こんなの初めてェェェエエエ!

背中を丸めてかばおうとしたが、体全体に熱風が当たりすぎてあんまり意味がない。他のサウナーは大丈夫なのかと後ろを見たら全員同じポーズをしていた。これはアカン! アカンでえ……!!

2度目の退避をすると、他のサウナーもぞろぞろと出て来る。確かに、注意書きで熟練者も気をつけてと書かれていたけど、本当に気をつけないとヤバイと思った。7段目が熱いのはともかく、5段目右側のブロワー直撃はマジで設計上のミスではないかと疑うレベル。

3周目で2段目に座ったところ、やっと地獄のロウリュを乗り切ることができた。ロウリュを越えた時、後ろを見てみたら、5段目6段目の右側は人がいなくなっていた。

・ガチで注意

というわけで、「富士山溶岩ロウリュサウナ」はシャレじゃなくマジで注意が必要。身の危険を感じるレベルだったので熱いサウナが好きな人ほど気をつけて欲しい。

ハーブサウナはちょうど良いサウナだし、前述の通り水風呂も良いので、最終的にはハーブサウナと露天の水風呂でととのった。まあ、注意するポイントさえ分かっていれば、設備自体は悪くないスーパー銭湯という印象である。リゾートな雰囲気も楽しい。

その証拠に平日昼間でも結構混みあっていた。さすが話題のスポット。ただ、注目され人が集まっていると、事故が起こりやすくなるのが必然なので、「富士山溶岩ロウリュサウナ」についてはお店も注意喚起していることをしっかり心に留めておこう。

執筆:中澤星児
Photo:Rocketnews24.