近未来の景色になりつつある渋谷。サクラステージにスクランブルスクエアに渋谷パルコと、アニメみたいな世界が広がっている。攻殻機動隊までもうすぐだ。その辺の目立つ建物は、歩いてみると非常に外向けな雰囲気がある。外国人であふれているのもさもありなん。
じゃあ、渋谷の若者はどこに集まっているのかと言うと、その1つはひょっとしたら銭湯かもしれない。創業100年以上の「改良湯」に行ってみたらそんなことを感じた。
・創業108年の銭湯
渋谷駅近辺において貴重な銭湯の1つである改良湯。その歴史は1916年から続いているため2024年で108年目となる。場所は駅東側を走る明治通りを南に進んだ恵比寿との中間地点である渋谷区東2丁目。さて、この情報だけ聞いたらあなたはどんな銭湯を想像するだろう?
私(中澤)は、なんとなく古ぼけた感じを想像していた。渋谷駅チカでもその辺は一軒家とか神社もあるポイントである。瓦屋根の宮造り建築的の銭湯があってもおかしくない。渋谷に住んでないと来ることなかったなー。そんな気持ちで住宅街を進んだところ……
クジラにぶち当たった。繰り返す、住宅街にクジラがそそり立っていた。浮世絵みたいな線でビルの壁にクジラが描かれているのである。こんなとこにこんなものがあったとは……。
・思てたんと違う
閑静な住宅街の中に突然現れた芸術性にビビってよく見ると、クジラの横に小さく「改良湯」と書かれている。ということはこのビルが創業108年の老舗銭湯『改良湯』か。
なんか思てたんと違う。文字が小さく洗練されまくったキレキレの建物は、知らなければ銭湯と分からないだろう。デザイナーズマンションと思うかもしれない。
・なんか怖い
そのため、入口をくぐるのにも他人ん家に入るみたいな緊張感があった。だが、券売機を見てみると、価格は入浴料+サウナ120分で970円。手ぶらだとフェイスタオル(120円)とレンタルバスタオル(120円)をプラスして1210円であった。
中に入ると番台の先に、椅子とかが置かれたちょっとしたスペースがある。番台の前に男湯の入り口がある感じ。中は銭湯っぽくてホッとした。と思ったのも束の間、脱衣所から浴場に行ったところ、ホゲエエエエエエエ!
クラブみたいになってる……!
浴場は暗く、ブルーライトの間接照明でサイバーな雰囲気すら感じた。さらには、湯舟がキラキラ光っていて創業100年以上の銭湯とは思えない。
・渋谷の若者が集う
湯舟も炭酸泉とかあって現代的。ただ、最も現代的なのはサウナかもしれない。12人くらいの定員のサウナ室があるのだが、湯舟側と廊下のようなもので区切られていて、L字型の廊下の角に水風呂があり、突き当りに外気浴スポットがある。
つまり、サウナの動線が湯舟側と分けられているのだ。これは完璧サウナー仕様。その証拠に外気浴スペースは渋谷の若者でいっぱいで、平日だったが椅子が常に埋まっている状況であった。今、渋谷の若者は銭湯に集まっているのかもしれない。
ちなみに、私が入った時、サウナは90度くらいで水風呂は9.4度くらい。センター街のサウナ道場も水風呂冷たかったけど、渋谷の若者の間では冷たい水風呂が流行っているのだろうか。
・安い
外気浴スポットは建物の隙間みたいなスペースで壁も高いので露天風呂ほど解放感はないが、上が空いていて扇風機が回っているため、見た目よりは風が巡っているように感じた。外気浴もできて970円は渋谷のサウナの価格帯を考えると大分安い。
ビビったのはアウフグースもやってること。浴場の広さを考えると、そういうオプションは無くてもおかしくないのだが、熱波師が来てエンタメ的なアウフグースをやっていることに最先端を感じた。
行く前の想像を裏切られまくったこの銭湯。外から予想がつかず秘密基地みたいになっているここをかぎつけて集う若者はアンテナが高い。さすが渋谷! というわけで今回も……
\ととのったー!/
・今回紹介した銭湯の情報
店名 改良湯
住所 東京都渋谷区東2-19-9
営業時間 12:00~23:30
定休日 土曜日
参考リンク:改良湯
執筆:中澤星児
Photo:Rocketnews24.