今年の「土用の丑の日」は2023年7月30日である。その日まであと約1カ月と迫るなかで、大手牛丼チェーンの「松屋」は、うなぎメニューの販売を開始したそうだ。同社は「食感も香りも専門店に負けない至高のうな丼です」と仰っているようなのだが、あいにく、それは「言いすぎ」と言わざるを得ない。
なぜなら、昨年9月に誕生した「鰻の成瀬」には敵わないからだ。食感も香りも値段まで含めて、成瀬はスゴいんじゃ! 税込2600円の「うな重 松」がコレだぞ! これを見ても、専門店に負けないと仰るか?
・1年経たずに10店舗、鰻の成瀬
ご覧ください。2600円のうな重です。
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老舗なら倍の値段がするような1尾うなぎがドン! と、ご飯の上に横たわっている。ちなみに「うな重竹」は4分の3身で2200円、「梅」が半身で1600円となっている。こんな立派なうなぎを2600円で出されたら、さすがの松屋さんも「専門店に負けない」とは言いづらいかと……。
さて、鰻の成瀬は2022年9月に横浜に1号店を出店している。以来、東京・千葉・埼玉に計8店舗を出店。7月には東京・神保町、神奈川・藤沢にも出店を予定している。急速に店舗を拡大するうなぎチェーンなのである。
私(佐藤)が訪ねた日本橋店は、6月16日にオープンしたばかりなのに、すでに昼時には行列のできる人気店になっていた。
人気の理由はやはり安さにあるだろう。二ホンウナギを海外の養殖場で育てており、質の良い品を安く提供できる体制を整えている。また、メニューを絞り込んだ上に現金会計を徹底し、営業時間も短く(11~17時)することでランニングコストも抑えているそうだ。
小さな努力の積み重ねにより、老舗専門店の約半分の価格で立派なうなぎを提供できているというわけ。
その証がコレです。うなぎがお重からはみ出している。
く~ッ! なんて立派なうなぎなんでしょ。驚くことに見た目のシズル感がすごいのに、不思議と全然ニオイがしない。店内の空気もめっちゃクリーン。うなぎ屋といえば、あのニオイが食欲をそそるんだけど、ここは限りなく無臭に近い。
見た目は100点のうなぎだが、味はどうかな? 全体的にフワフワの食感。脂っぽさはほとんどなく、ふっくらと焼き上がっている。美味しいんだけど、脂身も嫌いじゃないので、個人的には少し物足りないかなあ。
しかしながら大変上品で、蒸し焼きの良さをしっかりと感じることができる。
ご飯は、うなぎとタレに合わせて厳選した国産米を使用しているそうだ。ふっくらとしたうなぎと一緒に食べても、違和感のない炊きあがりで、がぜん箸が進む。
別添えのタレをかけて、卓上の山椒を振って、自分好みに味変! うなぎには山椒たっぷり派なので、惜しみなく振る! あの華やかな香りなくして、うなぎを食った気にはなれんのですよ。
後半戦、出汁をかけてひつまぶしにしたい衝動に駆られた。だが、この店はうな重のみ。今後はぜひ、ひつまぶしの提供もお願いしたいところなのだが、メニューを絞っているからこそ、この価格で美味いうなぎを食えるわけで……。悩ましいところだが、まずは安く美味しいうなぎを食えることに感謝したい。
というわけで、鰻の成瀬はまだ創業して1年にも満たない新しいブランドだ。この調子で店舗が増え続けて、全国に出店してくれることを願っている。
うな丼チェーンといえば「宇奈とと」が圧倒的な強さを見せているのだが、はたして宇奈ととを脅かす存在になるのだろうか? 今後の展開が気になるところである。
・今回訪問した店舗の情報
店名 鰻の成瀬 日本橋店
住所 東京都中央区東日本橋3-6-12 加藤ビル1F
時間 11:00~17:00
定休日 日曜日