吉野家と松屋にそばを扱う店があることは以前の記事でお伝えした通り。一方で、普通の店でもそばがメニューにある丼物定食チェーンが なか卯と てんや である。で、先日、なか卯の前を通りかかったところ、ざるそばが発売開始されていた。

これにより、そばを扱う4つの定食チェーンにざるそばが出そろったわけだ。そこで吉野家・松屋・なか卯・てんやのざるそばを比較してみたところ……同じざるそばでも全然違う

・うっかり全部食べてた

かけそばより誤魔化しがきかないと言われるざるそば。まして、丼物チェーンのものとなると「うどんの方が安牌なのでは?」と思う人も多いだろう。

しかし、私(中澤)はイケるならば丼物のセットはざるそばがベスト。なので、ざるそばのセットがあればまずそれを注文してアリかナシかを判断しているわけだが……

そうしているうちに、4つの定食チェーンのざるそばを制覇してしまったため、比較結果を記事にしたい。なお、今回の比較は私的なメモも兼ねているため、歯に衣着せずに正直な感想を書かせていただく。辛辣だったらごめん。


・なか卯 ざるそば(並)税込450円

「丼物チェーンのざるそば」と聞いて私がイメージするそばはこれ。そばの質感がテロンとしていて安い。つゆも飲んでみたところ……う~ん、普通。かけそばはつゆがウマかったのだが、なか卯らしいこだわりが見えたのはわさびが山わさびなことだけであった。


・てんや そば(1人前)税込350円

乱切りなことにこだわりを感じる。かけそばよりもざるそばの方が乱切りが生きていてウマイ。このそば1人前に天丼がついたセットが税込み850円なのもコスパが良いと思う。つゆは単調でめんつゆオーラが前に出ている味だが、この価格なのでまあアリか。


・そば処吉野家 もりそば税込448円

十割そば。つゆが濃い目で、半分くらいつけて食べるとそばの風味が口の中に広がる。そばもしっかり締まっていて、定食チェーンのそばではなく、ちゃんとそば屋の味がする本格派。


・松そば せいろそば(1枚盛)税込330円(2枚盛)税込420円

十割そばからニ八そばに変えて大成功だと思う。グッとしたコシがあるそばはのど越しが良く、かつお出汁の風味が強いつゆの味とも合っている。東京的なそばであり、吉野家とは別の道で本格派。また、他の定食チェーンと比べてセットの丼物が豪華なので街のおそば屋さんとしてはレベルが高い。

・味ランキング

以上。まずは、価格を度外視して味だけで情け容赦なく順位をつけるなら「1位吉野家、2位松そば、3位てんや、4位なか卯」である。さらに言うなら、1位2位は接戦だが、2位と3位の間には越えられない壁があるように感じた。

そば処吉野家と松そばのそばは、定食チェーンのサイドメニューではなく、ちゃんと「そば屋」として戦えるクオリティーがある。それでいて、分量に対する価格も高いというわけではないからこの4つの中でコスパは段違いだ。

・試合では負けたが勝負に勝ってるそば

味で考えると、おそらく多くの人にとってこの2つのどちらかが勝者になるだろう。だがしかし、実は私が今も1番通っているのは「てんや」だ。なぜならば……

そば処吉野家と松そばが近所にないから


そう、この2つは店舗数が少ないのである。松そばなんて清瀬1店舗しかない。それに比べて、前述の通り、なか卯と てんや は一般の店舗でも展開されている。すなわち、下位2つのチェーンの強みは守備範囲の広さと言えるだろう。

その上で、てんや に至っては「まあ、これでいいか」と思えるくらいにはウマイ。さらに、てんや だけ同じくらいの分量でも100円くらい安いのである。

味だけを見ると、確かにそば処吉野家か松そばだ。しかし、手軽さや気軽さも定食チェーンの大きな魅力。それを踏まえると、定食チェーンのそばとして最も優れているのは てんや なのかもしれない。試合には負けたが勝負には勝っている てんや のそば。これぞ定食チェーン道と言えるのではないだろうか。

執筆:中澤星児
Photo:Rocketnews24.