米国シリコンバレーから、満を持して日本に上陸したスマホアプリ「Miles(マイルズ)」。移動するだけで「マイル」と呼ばれるポイントが貯まり、特典と交換できるというもの。

特典を提供しているのがJR東日本やJAL、Amazon、伊藤園などの有名企業とあって、華々しいスタートといえるだろう。現在100万ダウンロード突破ですべり出しは上々のようだが、筆者は1カ月ほど使ってみてどうしても馴染めなかった。その理由とは……


・世代の違い?

結論から先に申し上げると、位置情報へのアクセスを「常に許可」しなければならないことに非常に心理的抵抗があるのだ。「このAppの使用中のみ許可」ではダメで、常時オンを求められる。

というのも、Milesでは「端末を操作したり、アプリを意識したりすることなく、ただ移動するという自然な動作の中でポイントが貯まる」という体験を重視しているようで、自動で位置情報を取得する。

アプリに残る移動履歴は「○丁目」くらいまでのザックリしたものだし、氏名などと紐づけたデータ収集はしていないというものの、常に位置情報マークがつきっぱなしになっているのが居心地悪い。

移動中はいいのだが、どこか1カ所に留まっているときなど、「今夜はここにいますよー!」と(少なくともMilesシステムには)把握されていることになる。

誰かがマイルを獲得すると「○○(登録名)が電車で4マイルためました」などと表示されるトレンド機能も気にかかる。フルネームや所在地まではわからないし、モチベーションアップの仕掛けだと思うが、筆者は表示させたくない。

別に筆者の居場所なんてだれも興味がないだろうし、悪用しようもないのだが、どうも “見られている” 感を抱いてしまうのだ。

ところが、若い世代には「Zenly」などといった、位置情報を知らせ合うサービスが人気だというじゃないか。友人が家にいるかどうか確認したり、親が子どもの帰宅時間を確認したりするのに便利だという。

もちろん不特定多数が相手ではなく親しい間柄でのことだが、それでも筆者としては「いまどこにいるか」は最優先で秘匿したい事柄だ。これは世代の差なのか……。

後述するが、アプリのコンセプトは非常におもしろいし夢がある。移動履歴が正確に反映されないエラーが多く報告されているが、関心や期待を抱いてダウンロードした人の多さを物語っている。


・こんなアプリ

説明が前後したが、アプリの内容は単純だ。会員登録をして、位置情報利用を常時オンにすれば1マイル(約1.6km)の移動に対して1マイルのポイントが付与される。

より環境に優しい移動手段を選ぶとボーナスがあり、徒歩・ランニング10倍、自転車5倍、バス・電車・船・スキー3倍、車の相乗り2倍、車1倍、飛行機0.1倍といった具合だ。

基本的にはAIが速度や経路で勝手に判断してくれるのだが、たとえば自家用車とバスの違いなどはAIではわからない。その場合は手動で修正も可能。

毎日普通に移動しているだけで自動でマイルが貯まっていくので、あとは好きな特典と交換する。Amazonギフト券500円分なら2万5000マイル、JALダイナミックパッケージ2000円割引なら200マイル、などなど。

2万5000マイル(約4万km)なんてとても貯まりそうにない数字だが、徒歩・ランニングが10倍 → 20倍になるキャンペーンがあったり、「ステータス」という会員ランクが上がると特典交換レートがお得になったりする。

職業ドライバーなら、ちょっとした小遣い稼ぎになるのではないだろうか。ウーバーイーツの配達パートナーをやりながら貯めるのもおもしろそうだ。「特典を狙いにいく」というよりは、気づいたら貯まっていた、というくらいの緩い使い方がオススメだ。


・利用は個人の判断で

どのアプリにも共通することだが、無料サービスには必ず「代わりに差し出しているもの」が存在し、それが購買行動だったり情報だったり新たな顧客だったりする。そこを十分に納得して使えばWin-Winの関係になれる。

筆者はこのサービスを「危険」だとは思わなかったが、感覚的に「居心地が悪い」ので、あまり利用していないという現状だ。アンインストールまではしないものの、長距離移動など特定のときだけ位置情報をオンにする、といった具合。

世代によって、あるいは考え方によっては、なんら抵抗なく使えるかもしれない。あなたはいかがだろうか。


参考リンク:Miles公式ページ
執筆:冨樫さや
Photo:PR TIMES、RocketNews24.
ScreenShot:Miles(iOS)