実を言うと私(中澤)は現在バズっている。TikTokで。いや、お前のことなんか知らんぞという人が大半だと思うが、事実として先日投稿した動画は70万回以上再生され、4000近い「いいね」と250件近いコメントがついている。

ちなみに、TikTokでバズったのはこれが初めてではない。割とポロッとバズるので、暇な時の趣味みたいな感じで続けているわけだが、投稿していくうちに特殊な選曲方法をしていることにふと気づいた。そう言えばこれ、TikTokでしかやってないな

・動画に曲をつける時

まず、TikTokで動画にBGMをつける場合、大きく分けて3つのパターンがある。そのパターンとは「知ってる曲をつける」「TikTokでプッシュされている曲をつける」「検索」の3つだ。

いやいや、検索も知らないとできないじゃん! そう思うかもしれないが、この場合の検索とは曲名やアーティスト名を検索するわけではない。もっと直感的なのである。

・TikTokの検索方法

例えば、猫に関する動画なら「猫」とか「ニャー」と検索して出てきたものを視聴しイメージに合う曲を選ぶ感じ。現在バズってるのは以前の記事でご紹介したチャーハンロボのものだが、これも「チャーハン」で検索して出てきた曲をつけている。

アーティスト名も知らないし、こんな曲があることも知らなかった。別にピックアップされている曲でもないし、当然知名度なんてあるかどうかすら分からない。こういった曲に、直感的にアクセスできるシステムって、めちゃくちゃ革新的なのではないだろうか。

・ミュージシャン視点で見ると

実は私は、15年以上インディーズバンドで活動してきたバンドマンだが、その経験から言うと、膨大な情報量に埋もれないことがまず難しい。っていうか、ほぼ無理だ。純粋な需要のあるところに届けるのに分厚い壁がある。

一方で、TikTokはこの壁がない。近年、瑛人やAdoなどの無名アーティストがTikTokから火がつく現象が見受けられるのも、最初の一歩が直通なことは相当大きいと思う。

・使われやすい曲

とは言え、目についたとしても選ばれなければ意味がない。そして、ここからが本題。はたしてどんな曲が使われやすいのか。この点に関しては、TikToker視点で考えてみたところ、重要なポイントが3つあることに気づいた。

まずは、タイトル。視聴するかどうかはタイトルで決まるので重要なことは言うまでもないが、傾向としてはより直感的に内容の分かるものを選んでいる気がする。例えば、同じ犬の歌でも『君と僕との永遠』みたいな詩的なタイトルよりは、『犬、走る』とか『猫かわいい』とかの方が良い。

続いて歌詞。改めて考えてみると、曲調よりも歌詞が決め手になっていると思う。動画の内容を表すような歌詞の曲をつけるとオリジナリティーが出るからだ。曲調は割とどんなのでもマッチしないってことはないしな。

さらに言うと、シンプルでそのままの歌詞の方が良い。タイトルが『犬、走る』の場合、検索で来る人は犬が走ってる動画に曲をつけたいわけだから、「寄せては返す波間に続く君の足跡」とかよりは「犬、走るー!」とか「わんわんわんくーん!」とかそういう歌詞の方が使いやすそう。

最後に視聴時間の設定。別に良い曲を探しているわけではないので、頭だけ聞いて「イメージと違う、次!」が圧倒的に多い。もし、その曲にTikTokerのイメージ通りのパートがあったとしても、そこまで聞かれなければないのと同じである。

上記の3点を踏まえた上で、日常的なテーマだとなお良いだろう。私も含めて、一般人の動画って大体日常的なものだからだ。コンビニの歌とか100均の歌とかも需要がありそう。メジャーなアーティストはそういう曲あんまり作ってくれないしな。

・音楽は芸術

もちろんこれは、TikTokの検索のみに特化したやり方なので、そういう音楽が良い音楽と言っているわけではない。芸術なんだし、本来的には好きなように自己表現を突き詰めるべきだと思う。

ただ、TikTokをやって知ったミュージシャン視点では気づきにくい曲の見方がシンプルに面白かったのでお伝えした。こういうTikTokの特性にハマった結果、瑛人が紅白歌合戦にまで上り詰めたことも事実。というわけで、本記事を検索でたどり着いたミュージシャンに捧ぐ。

参考リンク:TikTok @seijinakazawa
執筆:中澤星児
Screenshot:iOS(Tik Tok)