新型コロナウイルスの猛威はいまだ衰えることなく、新規感染者数が減る気配はない。この時期、全国各地ではお祭りが行われるはずなのだが、昨年に続いて延期や中止の判断を余儀なくされているだろう。

せめて夏祭りの気分だけでも味わいたい。そう考える人に、京都・嵐山の京綿菓子専門店「zarame」の綿菓子を紹介したい。ここは袋詰めの綿菓子の通販も行っている。実際にその綿菓子を食べてみたら、緊張した日常をほんの少し忘れることができたよ。

・袋詰めの綿菓子

コロナの影響がこれほど長く続くとは、誰も予想しなかっただろう。せいぜい1年我慢すれば、以前のような日常を取り戻せると私(佐藤)も考えていた。しかしいまだに終息する気配はなく、ワクチン接種の効果を実感できるのは、まだ先のような気がしている。

春頃には開催を予定していた夏祭りを中止する自治体も少なくないはずだ。多くの人びとが笑顔で行き交い、手に金魚や水風船、そして綿菓子の大きな袋を持って歩く姿を見ることができるのは来年だろうか。再来年だろうか……。


暑さばかりが募るなかで、私は東京・渋谷の東急フードショーのスイーツコーナーを歩いていた。そこで見かけたのが「zarame」の看板だった。


こんなところで綿菓子を売ってるの? ザラメの溶ける香ばしい匂いはしないし、綿菓子機も近くにあるようには見えないんだけどな。ふと見ると、「わた巾着」と名付けられた袋状のものが吊るされている。え? もしかして、コレが綿菓子?


お店の人に訪ねると、陳列されている商品はすべて綿菓子だという。綿菓子って袋詰めや箱詰めにできるのか。すぐに湿気ってしまうとばかり思ってたから、全然知らなかったなあ。


調べたところ、昔から綿菓子を袋詰めした駄菓子もあったようだ。うちの地元には、そういう商品なかったんだよなあ。ちなみに無印良品でも綿菓子が販売されており、人気商品なのだとか。


・皿の上の雲

さて私が購入したのは、わた巾着の「鬼きなこ」(税別400円)と、ジップロック付きで未開封なら3カ月保存可能な「綿灯華(めんとうか)」(税別750円)と呼ばれる商品だ。


袋から出してみると、皿の上に雲がいる!


真綿のように白くてフワリとした塊は、見ているだけで心が和む。幼少の頃に、両親と祖母に連れられて出かけた街の夜市の記憶がよみがえってくるようだ。初めて綿菓子を見た日の記憶はさだかではないけど、幼心に驚いたんだろうなあ。

ちぎってみると、感触は思いのほかしっかりとしている。手で触ってもなお真綿に触れているような気がしてしまう。


ぼんやりと眺めていると手の中で溶けてしまう。慌てて口に放り込んだら、一瞬で溶けた! あとにはきなこの味だけが口のなかに残っている。 “鬼” きなこという名前にふさわしくないほど、上品な味わいである。


・張りつめた糸が緩んだ

もう1つの綿灯華も皿に出した。どうせ一瞬で食べ切ってしまうだろうから、丸ごと全部出してやった。四角い雲が器の上にデン! と鎮座している。


こちらはストロベリーパウダーが混ぜこまれていて、口に入れるとイチゴの華やかな甘さを感じる。


綿菓子を食べたのは久しぶりだな。近頃の自分を振り返ると、報道される内容に憤りを感じて、不満や愚痴ばかり漏らす日々。暑さもあいまって、ずっとイライラしている気がする。綿菓子のやさしいくちどけに、張りつめた糸がふっと緩んだ。何をイライラしてんだか……。

祭りのにぎやかさにはほど遠いけど、気分だけでも味わうために、綿菓子を取り寄せてみてはいかがだろう。

・今回訪問した店舗の情報

店名 zarame(東急フードショー 期間限定出店)
住所 東京都渋谷区道玄坂1丁目12−1 和菓子特設会場 (渋谷マークシティ 1階)
出店期間 2021年7月10日~8月11日
時間 10:00~20:00

参考リンク:zarame無印良品
執筆:佐藤英典
Photo:Rocketnews24
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