東京五輪の開会式会場である国立競技場は、いま日本でもっとも緊張感の高いエリアと言えるだろう。開催に賛成か、反対か。2つの意見がぶつかり合うプレート境界のような場所と言えるかもしれない。

そんな中で開会式の準備を進める大会スタッフは、一体どんな気持ちなのだろうか? そして、現場はどんな空気なのか? 気になった私は、先日 国立競技場の周辺を歩いてみた。すると……思わぬ形で衝撃を受けることになったので報告したい。

・国立競技場の近辺を歩く


最寄りのJR千駄ヶ谷駅で降り、国立競技場方面へ向かった私がまず感じたのは、「めっちゃ普通」ってことだった。テレビを見ていると、東京五輪=もはや炎上コンテンツといったイメージが出来上がっていたのだが、現地は平穏そのものである。

私はてっきり、国立競技場の周囲がもっと殺気立っているのかと思っていた。「東京五輪断固反対」と書かれたチラシが狂気的なレベルで貼られていたり、反対派が拡声器で何かを叫んでいたり……。

しかし、少なくとも私が訪れた日の国立競技場周辺はいたって静か(そうじゃない日だってあったかもだが)。


・開会式の準備スタッフはなに食ってるのか?

これが嵐の前の静けさというヤツなのか? と思いながら、私は何気なくウーバーイーツ(Uber Eats)を開いた。大した理由はない。ただただ「開会式の準備スタッフはなに食ってんだろう? 周辺に飲食店が少ないから、ウーバーイーツとか利用してるのかな?」と気になっただけ。

些細な動機と言えば些細な動機なのだが、それが結果的にとんでもない店を見つけることになった。


まず、私は「ロケ弁当」と検索窓に打ち込んだ。そしてスクロールしていったら……





なんというネーミングだろうか。店名を見たほぼ全員の脳裏に “大手弁当チェーン” がよぎるだろうが、そっちじゃない。これはあくまで「のりじん弁当」なのだ。

そもそも、先に述べたように私がいるのは国立競技場周辺。東京オリンピック・パラリンピックの象徴とも言える場所である。「東京五輪開会式会場」という字面だけで緊張感の漂う場所で、まさかこれほどナメた名前の店を見つけるとは……。


・お店に行ってみた

一体どんな店なのだろう。気になった私は、ウーバーイーツに記載されていた住所へ向かったものの、そこは普通のビル。「のりじん弁当」の表示も見当たらない。どうやら、ウーバーイーツによくあるゴーストレストランのようだ。

残念。だが、「のりじん弁当」の料理を食べることはできる。ウーバーイーツで頼めばいいだけなのだから。


・実食

あとあと調べると、新宿二丁目にある当編集部も「のりじん弁当」の配達可能エリアだったので、人気だという『唐揚げと海苔弁当』を「飯テロバター大盛り」のオプションでオーダー(なんちゅうオプションだよ)。


数十分後、届いたものはパッと見たところ普通のお弁当である。


特に変わったところはないが、開封したら言葉を失った

なんなら、「のりじん弁当」を見つけたときのインパクトが吹っ飛んだと言っていい。というのも……


なんと……!


『唐揚げと海苔弁当』には……



海苔が1枚たりとも入っていない!


「のりじん弁当」の『唐揚げと海苔弁当』なのに……!


NO海苔!!


ただの「唐揚げ弁当」だったのだ



しかも、お弁当には唐揚げとご飯と漬物しかない。ほぼ茶一色。ワンポイントでピンクという色合いもどこかサイコパス的だが、何より気になったのは唐揚げのニンニクがめちゃくちゃ効いてるってこと。

私は今まで何千個もの唐揚げを食べてきたが、ここまでのニンニクゴリゴリ系は記憶にない。


・五輪の展開を暗示?

というわけでまとめると、今回の調査で東京五輪のスタッフがどんな気持ちなのかは全く分からなかった。分かったことといったら、国立競技場周辺が思ったより静かだってこと、そしてニンニクをゴリゴリに効かせた唐揚げは文句なしに美味いってことくらい。

つまるところ、のりじん弁当の『唐揚げと海苔弁当』は色々と矛盾しているものの、いざ食ってみたら美味かったのだ。最初は「こりゃアカン」と思ったけどアリ! この結果は、東京五輪の展開を暗示している……と信じたい。


執筆:和才雄一郎
Photo:RocketNews24.
ScreenShot:Uber Eats (iOS)