横浜高速鉄道みなとみらい線に『馬車道(ばしゃみち)』という駅がある。かつて乗合馬車の発着所があり、辺りは異国情緒あふれる繁華街だったそうだ。なんでも文明開化のムードを醸し出すロマンチック、エキゾチックな駅名として “馬車道” を駅名称としたらしい。

でもって、同駅は歴史的建造物が残るエリアに建設され、コンコースには……なんと金庫室の扉や貸金庫が埋め込まれているらしい。ほほー面白そうだぞ。ってことで、実際に行ってきました。

みなとみらい線、他駅の駅名標はゴシック体であるのに対し、明朝体のフォントを使用している馬車道駅。レンガづくりの壁が印象的で、文明開化のムードを醸し出している。ちなみに改札内のレンガは、大正以前の古レンガを使用しているらしい。ほえ〜。

で、で、で、改札を抜けて左手(出口4・5・6・7方面)へ。壁に飾られている(埋め込まれている)のが、先述した金庫室の扉や貸金庫である。気にせずスルーしている方が大半だと思われるが……



これら全部……


本物なのだ。


こちら駅の真上に立っていた「横浜銀行旧本店別館(元第一銀行横浜支店)」の金庫室扉や貸金庫、貸金庫前室扉や階段手すり等のパーツを展示しているという。

とくに金庫室扉は、間近でじっくり観察するとなかなかな迫力。なんというか、とてつもない存在感、そして静かな凄みを感じざるを得ない……頑丈すぎる鉄の扉は、厳かなオーラを漂わせている。

また歴史的建造物「馬車道大津ビル」で、1960年から40年近く使われていた温水ボイラ前面のパネルも展示されていた。なお、今後も空きスペースにこれから壊されていく古い建物のパーツを設置していく予定だという。馬車道駅には「土地の記憶」が残り続ける。


・巨大壁画も

つづいて、改札出て右手(出口1・2方面)へ行くと……今度は巨大なレリーフを発見。

こちら横浜銀行旧本店の1階営業室正面に設置されていた壁面彫刻で、旧横浜高等工業学校(横浜国立大学)の教授、中村順平氏に制作を依頼した作品とのこと。威厳ある大壁画に圧倒されてしまう。


・地下とは思えないドーム空間

あ、ちなみに言い忘れていたが、改札口部分は巨大ドーム空間となっていて、地下とは思えない雰囲気だったぞ。なんだか不思議な駅だな〜。

──というわけで、横浜の歴史巡りができる馬車道駅、機会があればじっくり見学してみてはいかがだろうか。まるで博物館のような優美な空間でした。


参考リンク:みなとみらい線「馬車道駅」
執筆:砂子間正貫
Photo:RocketNews24.