現代が舞台の格闘技マンガである『刃牙(バキ)』シリーズ。その中でも人気キャラだった中国武術の使い手・烈海王が死亡してはや数年、いまだに烈ロスに陥っているのは私(中澤)だけではないはずだ。

圧倒的に真顔な烈海王の雄姿はもう見られないのか? と、思いきや、コンビニの店頭に烈海王スピンオフコミックが並んでいた。その名も『烈海王は異世界転生しても一向にかまわんッッ』。異世界転生しちゃってるゥゥゥウウウ

・異世界転生しても真顔

と、まずタイトルに衝撃を受けたわけだが、表紙は圧倒的真顔で構える烈海王がいるのみ。異世界要素ゼロである。なんなら表紙の枠線のカクカクした模様は中華っぽい。異世界転生してもやはり烈海王は烈海王であることが伝わってくる。

・衝撃

ちなみに、店頭に並んでいたのは2巻だったため、異世界転生して結構経っているようだ。とは言え、2冊ならまだまだ余裕で追える。そこで1巻と一緒に買ってみた。2冊とも烈海王のピンショットすぎて、とても異世界転生マンガに見えないが、内容はどうなっているのだろうか? ページを開いてみたところ……


まさかの宇宙開闢(うちゅうかいびゃく)から始まった


烈海王が宇宙空間を漂ってるカオスさに私は完全に笑ってしまったわけだが、バキ本編も殴り合ってるだけで地球の核の話になったりするので、スケールの大きさには非常にバキを感じる。

その後、異世界転生でお馴染みのRPGのような世界にバッチリ転生する烈海王。ファンタジー世界の出来事に、圧倒的な真顔でひたすら向き合っていく様子は衝撃シーンの連続と言っても差し支えないだろう。中国武術スゲェェェエエエ

・ハッとした点

なんだかんだでグイグイ読んでしまうところもバキを感じる。と、ここでハッとしたのが、本作を描いてる漫画家が刃牙シリーズ作者の板垣恵介先生ではないということだ。コミックスの表記によると、板垣恵介先生は原案のみ。原作は猪原賽(いはらさい)さん、そして漫画は陸井栄史(ムツイエイジ)さんが担当となっているのである。

そう考えてもう1度見てみると、絵の雰囲気が異常なほど本編に近いことに気づいた。ちょうど最凶死刑囚編~大擂台賽編の辺りを彷彿とさせる感じで、読んでいると描いてる人が別ということを忘れる瞬間があるほど

絵が違いすぎて世界感に浸れないスピンオフもある中、これだけ寄せてくれているのはファンとしてはありがたい。戦いがただのアクションの描写ではなく、周りの状況やうんちくなど、外堀から攻めてくる「流れ」のある演出もそっくりだ

・スピンオフとしてのクオリティーは高し

ふざけてるように見えて、スピンオフとしてはかなり良い出来な気がする『烈海王は異世界転生しても一向にかまわんッッ』。烈海王がかまわなくともこっちがかまってしまう作品であることは間違いない。右手だけの登場じゃ寂しいという烈ファンは読んでみてくれ。

参考リンク:秋田書店
執筆:中澤星児
Photo:Rocketnews24.