日本漫画界を代表するダーク・ファンタジー超大作『ベルセルク』。その圧倒的かつ壮大な世界観を前に、我々読者はただ茫然と立ち尽くすしかない。特に「蝕(しょく)」と呼ばれる作中屈指の有名シーンに初めて触れた時は、絶望感あふれる描写の数々に震えあがったものだ。

そんなベルセルクに魅せられた、一人の男がいる。当編集部の佐藤英典である。佐藤は同作と25年以上を共に過ごした筋金入りのベルセルクファン。だからなのか分からないが……結論から言いますと佐藤さん、このあと「蝕」を起こしかけます。

・なるしかない

ある日の午後。私(あひるねこ)が会社に行くと、佐藤が珍しく漫画を読んでいた。何を読んでるんですか? と私が聞くよりも先に、佐藤は一言「ベルセルクは最高だな……」と感慨深げに呟く。

たしかにベルセルクは最高の漫画だが……急にどうしたんだろうか? すると佐藤は本を置き、どこか遠い目をしてこう続けた。


「これはもう……なるしかねぇな

・なるしかない

え、何が? ……何に? 唐突すぎて意味がよく分からなかったぞ。そこで何になるつもりなのか聞き返すも、「なるしかねぇ」と佐藤。だから何にだよ! そのままどこかに走り去ってしまったので、私もついていくことに。


「なるしかねぇ!」


「絶対なるしかねぇ!!」


「ならざるを得ねぇ!」


「早くなりてぇ!!」

・なるために

辿り着いたのは、当サイトが借りている賃貸マンション。通称ロケット寮。編集部から決して近いとは言えない距離だが、こんな所まで走ってきて佐藤は一体どうしようというのか?


「なりかけてきたァァァアアアア!」

勢いよく服を脱ぎ捨てると、そのまま浴室へ猛ダッシュ。どうやら佐藤は今からベルセルクの “超有名キャラクター” に変身するつもりらしい。ということは、なるのはガッツか? グリフィスか? それともゾッドか?


ところが、佐藤の選択は……



まさかのベヘリット……!

・想定外

いや何でだよ! 何でベヘリットなんだよ!! そもそもアレはキャラクターとは言わないだろ! もっと他にいただろォォォォオオオオ!! と、一瞬思ったものの……。


マ、マジか……


嘘だろ……


完全にベヘリットだコレ……!!

・本人降臨

佐藤さん、ヤバイって! 本物だって! 覇王の卵だって!! 原作では真紅のベヘリットを持つ者はゴッド・ハンド(超存在)を召喚し、「降魔の儀」において生贄を捧げることで自らもゴッド・ハンドに転生できるのだが……佐藤の場合、どういうワケか自身がベヘリットに。


それは


ただ一言


こう呼ばれるものだった


・事後

「蝕」を起こしかけた。というより、ほぼ起こしてしまった形の佐藤は、ベヘリット姿のままロケット寮を後にした。わざわざ来た意味はあったのだろうか……? と思いつつ、再び佐藤についていく私。


「最高ーーーー!」


「ベルセルク最高ーーーー!!」


「ベルセルクはーーーー!」


「最高だーーーー!!!」


ガッツ! ちょっとこっち来い!!」


グリフィス! お前も来い!!」


「あひるねこ! さっきから後ろをチョロチョロついて来やがって……イシドロかお前は!!


キャスカ! 愛しとるぞーーー!!」


ピピン! 生きとったんかワレ!!」


「羽鳥さんは……髑髏(どくろ)の騎士でええわ!


「よーし、行くぞ鷹の団!」


「ベルセルク最高ォォォオオオ!」


「ベルセルク最高ォォォォオオオオ!!」


「ベルセルク最高ォォォォォオオオオオ!!!」


ベルセルクは、最高の漫画……!


三浦建太郎先生のご冥福をお祈りいたします。

参考リンク:白泉社「ベルセルク」
執筆:あひるねこ
ベヘリット:佐藤英典
Photo:RocketNews24.
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