突然だが、千葉県にある『芝山鉄道』という鉄道会社をご存知だろうか?

ちょっとした鉄道好きなら聞いたことがあるに違いない。なぜならこの鉄道の路線は、なんと始発駅の次が終着駅という日本……いや、もしかしたら世界で一番短い鉄道路線かもしれないのだ。

というわけで、今回は1区間2.2kmしかない鉄道に乗車してきたので、その様子をお伝えしたいと思う。

・恐怖の「東成田駅」

『芝山鉄道』は東京都と千葉県を結ぶ、『京成電鉄』の終着駅である「東成田駅」と直結している成田空港近くにある路線で、「芝山千代田駅」との2区間で成り立っている。


京成電鉄から直通のため、「東成田駅」から始発になることは実際なく、その手前の「京成成田駅」が実質の始発駅となる。


だが、終着駅である「芝山千代田駅」とは路線が違うため、直通で3駅、2区間にも関わらず、「京成成田駅」→「東成田駅」で260円、「東成田駅」→「芝山千代田駅」で200円、計460円も運賃がかかってしまう。


ともあれ、さっそく乗車! 「京成成田駅」→「東成田駅」の1区間は、京成電鉄内の「京成東成田線」という路線になり、これまた京成線内にある7路線の中で一番短い。そして電車に揺られること約5分……「東成田駅」に到着。


一旦、地下にある駅構内に降りてみると、人の気配は無く、異様な空気だけが漂う。


そしてホームから改札口に上がり……


エスカレーターを上り切ったところ……


なんだこれ……廃墟か!!?


恐る恐る改札を出ると、これまた異様な空間が目の前に! 横の通路からゾンビが大量に襲いかかってきそうな雰囲気だ。


そして、これが駅の入り口。


一言で言うと「崩壊した街にあった駅」みたいな雰囲気を醸し出していた。

・わずか3分で終着駅に

再びホームに戻り、次は終着駅の「芝山千代田駅」に向かう。


「東成田駅」から乗車して約1分ほどで地上に出ると、車窓から数々のジャンボジェット機が目に飛び込んできた!


どうやら、成田空港の近くを走っていることだけはわかる。そして、同じような風景が続くこと約2分。終着駅の「芝山千代田駅」に到着。


ホームは地上2階にあり、先ほどの「東成田駅」に比べると、至って普通の駅だ。


それから駅の外へと移動。


バスターミナルやタクシー乗り場はあるが、車両は見当たらず、コンビニなどのお店も1軒も見当たらなかった。


ちなみに、この駅から出るバスの本数は、1日2便しか無い。


そして駅に戻り、券売機で切符を買おうとしたところ、今までに見たことがない画面が目に飛び込んできた……


一択!!!


「これ、券売機にする意味あるのか?」と思いつつ、現金で切符を購入し、再びホームへと戻った。

・昔は「成田空港駅」だった

「芝山千代田駅」を出て、また「東成田駅」に戻ることにした。その理由は「成田空港」に行くためだ。

「成田空港に行くのに、なぜ東成田駅に?」と思う人も多いだろうが、実はこの東成田駅は約30年前まで「成田空港駅」として稼働していた。


今では主に空港職員しか利用客がいないらしく、たまに鉄道好きの旅行客が訪れる程度だが、昔は日本の玄関口に都心からアクセスできる、貴重な駅として栄えていたとのことだ。

そして、なんとこの東成田駅は、今でも成田空港と地下道で繋がっていて、京成電鉄に乗り換えなくても空港に辿り着くことができる。

成田空港にアクセスできる鉄道会社として、JRと京成電鉄に続いて、知る人ぞ知る「第3の鉄道」なのだ!

ということで、改札口横にある地下道から成田空港へ移動することにした。


ここから500m歩けば、成田空港に辿り着けるとのことで、ひたすら地下道の中を歩いていく。人の気配は全く無い……。


そして東成田駅から約5分、まるで異世界と思われる人の多さを感じながら、成田空港に到着。


たった2駅1区間の小旅行だったが、個人的には日本の玄関口の裏側を垣間見えた感じがして、有意義な時間が堪能できたと思っている。

そして、この芝山鉄道は今年で設立40周年ということで、記念乗車券なども販売しているようだ。成田空港を利用する予定があり、飛行機の待ち時間に余裕がある人や単純に興味が湧いた人は、ぜひ一度乗車してみることをオススメする!

参考リンク:芝山鉄道ホームページ
執筆:耕平
Photo:RocketNews24.
[ この記事の英語版はこちら / Read in English ]

▼実質的な始発駅は「京成成田駅」になる
 

▼「普通(東成田)芝山」行きに乗車

▼ICカードの類は一切使えないので注意

▼1時間に平均2本で運行している

▼成田空港から東成田駅に繋がる地下道の入り口

▼今年で設立40周年!

[ この記事の英語版はこちら / Read in English ]