俺たちの心のとんかつチェーン「かつや」が昨日2021年6月7日、テイクアウト限定メニュー『ニブンノニショクドン』を期間限定で発売した。字面だけ見るとイマイチどんな商品なのか分かりにくいが、調べたところでよく分からないため安心して欲しい。

と言っても、構造自体は至ってシンプル。小食な人向けに『カツ丼』『ソースカツ丼』『赤辛カツ丼』『から揚げ丼』の4種のメニューを “ほぼ1/2サイズ” で提供しようというものである。

しかし……これがどういうワケか「かつや」史に残りそうなくらい難解なシステムになっているのだ。

・かつや新商品

『ニブンノニショクドン』の発売理由については、「かつや」のプレスリリース(公式文書)を参照するのが早い。その一部を引用しよう。


「期間限定メニュー『王道』は(中略)“量が多く完食できるか心配で注文できなかった” という声もいただきました。

たしかに、ボリュームに驚いていただく期間限定メニューが続いていたのではないか。(中略)そこで、手頃なサイズでより多くの方に専門店のとんかつを楽しんでいただける『ニブンノニショクドン』がお持ち帰り限定で誕生しました」


・ほぼ1/2サイズ

なるほど、たしかに食べる量に自信がない人からすると、『王道ロースカツ定食』のような激烈アホ男子校メニューは恐怖の対象かもしれない。小さいサイズのメニューを発売する意味は大いにあると言えよう。

ただ……どうしても解せないことがあるのだ。それは、このメニューの「かつや」の売り出し方である。もう一度商品名を思い出してみて欲しい。『ニブンノニショクドン』である。ん? ニブンノニ? ニブンノイチの間違いでは? そう、なぜかこの商品……


2個買うことが前提みたいになっている。

・ただの1

ほぼ1/2の丼弁当4種類が、選べるニショクで税込842円。そう「かつや」は説明しているのだが……どうしてこうなった。小食な人向けかと思いきや、これではただの食いしん坊万歳ではないか。「かつや」よ、なぜそっちの方に舵を切るのだ。

もちろんイッショクを税込421円で買うこともできる。しかし、メニュー表から漂う「そういう人はあまりいないですよねぇ?」感のエグさときたら、なかなかのものである。めちゃめちゃ想定してないやん。どうせみんなニショクで買うと信じ切ってるやん。


まあ、買うけど。


ニショク × 2で買うけど。

・コンプリート

カップに入ったミニ丼は、サイズはたしかにハーフながら、ニショク買ったら普通にワン丼。「あれも食べたいけど、こっちも食べたいんだぜ、俺ぁ」という我ら “かつや者” のとどまることを知らない食欲にチカラいっぱい応えてくれるぞ。

いや、そこは応えるなよ。という気もしなくはないが、ここで価格についての重要な情報をお伝えしておかねばならないだろう。すでにお気付きの方もいるかもしれないが、イッショクだと税込421円、ニショクで税込842円なので……そう、ニショク買ったからといって、別に安くなるワケではないのだ。

・割引券は必須

その代わり、ニショクごとに「かつや」おなじみの100円割引券を利用できるという仕組みになっており、つまりニショクで税込742円である。まあ割引券を使えるのは素直にありがたいが、イッショクで買わせる気の有無については激しく疑問が残るところ。

それにしても、“ほぼ1/2サイズ” の丼という極めてシンプルな商品にもかかわらず、どうしてこんな妙なシステムになってしまったのか? 私が思うに、おそらく小食な人向けなどという慣れないことをしたからだろう。

・言わんこっちゃない

「かつや」、それは足し算の極致。まれに意図しない掛け算が勝手に起きることはあるものの、引き算はまず絶対しないし、割り算に関してはそもそも存在を知らないと思われる。しかし、そんな攻めオンリーな姿勢こそ、「かつや」が俺たちの「かつや」たる所以なのだ。

だから「かつや」よ、無理して “ほぼ1/2サイズ” なんて別に言わなくていいぞ。本当は1/2じゃなく……すべて2倍にしたいんだろ? なんなら3倍だろ? そうだろ? それくらい我々はお見通しだ。

とは言え、異なる味を楽しめる『ニブンノニショクドン』は、これはこれは楽しいのでまた購入しようと思う。もちろん、ニショクでね。

参考リンク:かつやPR TIMES
執筆:かつや者・あひるねこ
Photo:RocketNews24.

★「かつや」関連の記事はこちら → シリーズ「かつや激闘集」

▼ほぼ1/2カツ丼弁当

▼ほぼ1/2ソースカツ丼弁当

▼ほぼ1/2赤辛カツ丼弁当

▼ほぼ1/2からあげ丼弁当

▼ちなみに私の妻は、カップに入ったミニ丼を見て「カワイイ」と言っていた。何がカワイイのか。

▼通常の『カツ丼弁当・梅(税込529円)』と比べるとこんな感じだ。