だいたい週に1度、職場で駅弁を食べている。職場近くのJR新宿駅南口コンコースに「駅弁屋 頂(いただき)」があるため、出勤前にチラ見して “旅の目的地” を決めているのだ。駅弁のおかげでアチコチ旅行に行った気分になっている。

ただ、この日はじっくり選ぶ時間がなかったので “ジャケ買い” を敢行。レトロでかわいい『ワインのめし』を持ってレジに並んだ。ラスト1個だったから、きっと人気弁当なのだろう。さあて今回の目的地は……山梨県だッ

駅弁は見て楽しむものでもある。パッケージから物語を感じることで、職場であっても鉄旅気分に浸れるのだ。まず注目すべきは「ワイン県やまなし」「のめしとは甲州弁で “のみなよ” という意味」という文言。山梨ワインにピッタリの駅弁ということがわかるだろう。

さらに2021年で生誕500年を迎えた武田信玄が、山梨の旅をワイン片手に楽しんでいることもわかる。それでは、信玄のお供をすべく……

掛け紙をペラっと剥がすと……

また信玄ッ!!

と思ったら、こちら「ご挨拶」と「メニュー」である。どうやら、山梨県は昼夜の温度格差が大きいこと、日照時間が長く傾斜地があることなどからブドウの栽培が盛んで、明治時代からワイン造りが始まったという。日本ワインの発祥地だったらしいぞ。勉強になりますね。

・上品なおつまみ駅弁

さっそくフタを開けたら……ほほう、とても上品。特産品をちょっとずつ楽しむ「おつまみ駅弁」ということか。パッケージ同様、華やかな見た目で気分が上がる。女性のハートを鷲掴みするタイプの弁当だ。

・山梨の本気を味わう

では、いざ山梨へ……てことで、いただきます。まず手をつけたのは、甲州名物「ほうとう」のグラタン。割り箸だとビミョーに食べづらいけど……これがいきなりビビるほどウマいっ

てか、ほうとうをグラタンにするというのは “地元民あるある” なのだろうか。まあ、甘いかぼちゃとホワイトソースは美味しいですよね。ひと口目から衝撃のウマさ……もう感動

んで正直、ほうとう以外は「あ、名物だったんですね」って感じなのだが、旅とは、駅弁とはそういうものだろう。未知なる体験との出会いを楽しむものなのだ。てことで、順番に食べてみたのだが……さすが山梨ベスト9、ウマ過ぎる!

・甲斐サーモンと甲州鳥もつ煮

とくに「甲斐サーモンのマリネ」と「甲州鳥もつ煮」は山梨ナインの中心選手と言えるのではなかろうか。聞けば、甲斐サーモンは名水百選に選ばれるキレイな川で大きく育ち、脂乗りが上品であっさりした味わいが特徴らしい。私は飲めないけど、きっとワインにも合うだろう。

そして、甲州鳥もつ煮は……めっちゃ濃いっ! 上品なメニューが並ぶ中でひときわ存在感を放っていた。こちらニワトリのモツを砂糖と醤油で照り煮したご当地料理で「B-1グランプリ」でグランプリを獲得したこともあるそうだ。知らなかったなァ。

・JRと丸政のコラボ弁当

『ワインのめし』は、JRと山梨を代表する駅弁会社「丸政」のコラボ弁当。山梨エリアのJR社員の方々に「山梨らしい料理や食材のアンケート」をとることから企画がスタートし……2021年2月に完成したそうだ。見たことなかったけど誕生したばかりの弁当だったんですね。

ちなみに値段は1500円。自宅でワインを飲みながら……って考えたら決して高くはないだろう。山梨が誇る名物駅弁としての道をこれから歩む『ワインのめし』、職場でも自宅でも、もちろん鉄旅のお供としても、機会があればぜひ味わってみてほしい。

・今回ご紹介した店舗の詳細データ

名称 駅弁屋 頂
住所 東京都新宿区新宿3-38-1 JR新宿駅内南口コンコース
時間 6:30~22:00
休日 無休

執筆:砂子間正貫
Photo:RocketNews24.