複数のホビー系サイトで取り上げられ、ほかでもない姉妹サイトPouchからも紹介されたバンダイの新作カプセルトイ。

各社の新作を毎月チェックしている筆者の目からみても、その記事数からかなり「注目されている」と見受けられるアイテム。

なにより筆者自身が「買いだ……!!」と興奮してしまう1品だったのだが、そもそもデジタルネイティブの若者世代の諸君は、これ知ってる? なにに使うのかわからない人もいるのでは?


・「ミニチュア ルーレット式おみくじ器」(400円)

これがそのカプセルトイだ。地球儀のような丸いフォルム。カラー展開は赤と青……なのだが「えんじ色」とでもいうような渋い紅色と、黒に近い濃紺である。

喫茶店や食堂やラーメン屋のテーブルにさりげなく置かれ、周囲にぐるりと星座が書いてある。

自分の星座のところにコインを入れてレバーを引くと……


上部のルーレットがキュルル~と回り


小さく丸められた「おみくじ」が出てくる。ここまでくればわかったと思うが、卓上占いマシンである!

巻物のように長~い「おみくじ」には運勢のほかに、数字占いのコーナーもあって、上部のルーレットに止まった数字で判断する。

昭和後期、個人経営の小さな喫茶店……そもそも当時はカフェチェーンなんてなかったが、必ずといっていいほど置いてあって、筆者世代にはめちゃくちゃ懐かしい!

レコードプレーヤーだとかジュークボックスだとかゲームテーブルだとか、暮らしから消えてしまった昭和の遺物は数あれど、インテリア性やコレクション性をもつアイテムだと、かえって愛好家がいたりして活路を見いだすものである。


ところが「ルーレット式おみくじ器」は、そういったコレクターズアイテムにまでは昇華されていないと思われる。

現在も製造されているので希少性があるわけでもなく、集めたくなるような芸術性があるわけでもなく、なんというか、わざわざ手元に置くほどじゃないけど久しぶりに見かけたらちょっと嬉しい、くらいの存在なのである。

その大衆性が、たまらん! よくぞミニチュアにしてくれた!!

しかも筆者、正直に白状すると、実際に使ってみたことがない。

あちこちにあるメジャーな商品だった当時でさえ、親から「バカくさい」といわれて、やらせてもらえなかったからだ。決して子どもが夢中になるような性質のものではないから、1度やってみたら「なぁんだ」と納得して、2度とねだらなかっただろうに。

結果、自分で稼げるようになるやいなや、おもちゃに万札を動員するような大人になるのである! お母さんありがとう、人生楽しいです。

話が逸れたが、カプセルトイとしての完成度もかなり高い。セミオープンタイプのカプセルで、一般的なカプセルトイの中身よりもだいぶ大きい。

手のひらにのせるとよくわかる。実物をふたまわりくらい小さくした感じだろうか。ほぼ1/2サイズだという。

おみくじ3種つきで、内部にセットできる。セットした順番に出てくるのでランダムとはいかないが、おみくじ自体は全9種。

硬貨を模したパーツも付属。星座の投入口に入れて遊べる。

ちなみに本物を国内で唯一製造しているのが、岩手県に工場を置く「有限会社 北多摩製作所」。1台8800円(税込)で個人販売しているほか、ふるさと納税の返礼品にもなっているそう!


・昭和の名残

1960年代の喫茶・占いブーム時には、販売台数、設置した店舗の利益ともに相当な売上をたたき出したのだという。料理を待つあいだのちょっとした娯楽や、会話の糸口だったのだろう。

衰退期に入っていた筆者の子ども時代は、だれかが遊んでいるのをみたことは1度もない。ほとんど使われていなかったんじゃないだろうか。


いまだって占いのニーズがなくなったわけではないし、テーブルで手持ちぶさたになる瞬間はあるが、それならさっさとスマホを取り出して占いアプリなりブラウザなりを起動させる。

「ルーレット式おみくじ器」はいろいろな遊びが素朴だった、昭和時代の名残といえるかもしれない。カプセルトイとしての完成度も最高なので、「懐かしい」という人も、「なにこれ知らない!」という人も、ぜひ探してみて!


参考リンク:バンダイ公式サイト有限会社 北多摩製作所
執筆:冨樫さや
Photo:PR TIMES、RocketNews24.
[ この記事の英語版はこちら / Read in English ]