軍鶏(しゃも)といえば、闘争心の強いニワトリだ。胸筋が発達し、首が直立した勇ましい姿をしている。そのため肉質の締まりが良く、美味しさが凝縮されているらしい。なかでも茨城県北部の奥久慈(おくくじ)の大自然が生んだ「奥久慈しゃも」は絶品なのだとか。

先日、そんな奥久慈しゃもが主役の駅弁『奥久慈しゃもべん』を新宿駅で購入した。2021年3月に誕生したばかりの駅弁なのだが、こいつがガチで美味しかったので報告しておきたい。本当にケタ違いのインパクトだった……!

・奥久慈しゃも

なんでも、昼夜の寒暖差が大きい奥久慈の気候は、しゃもをたくましく育てるという。たしかに、パッケージを見れば “強さ” は明らか。全国地鶏味の品評会で第1位に輝いたこともある奥久慈しゃもは、一般的なニワトリの約3倍の期間をかけて大切に飼育されるそうだ。

そんなブランド地鶏の駅弁は、2019年の台風19号の影響で運転を見合わせていた水郡(すいぐん)線の運転再開(袋田駅〜常陸大子駅間)を祝して販売することになったらしい。沿線を代表する名物が……奥久慈しゃもなのだ。

ちなみに、掛け紙には「奥久慈しゃも生産組合」公認の印もあり。すなわち、本物の実力を存分に楽しめるということ。ちなみに値段は1100円。期待は大! 


てことで、開封すると……


炊き込みご飯の上にゴロゴロと並ぶしゃも焼き。組み合わせたのは長ネギ焼きと金平ゴボウ、そして玉子そぼろと山菜の醤油漬け……渋い

新入り駅弁とは思えないビジュアル。なんなら「100年前の駅弁です」と言われても余裕で信じるレベルの渋さ。非常に良い。と思いつつ、食べてみると……


オオオオオオオオ……


しゃも強ぇぇぇぇえええ!


噛めば噛むほど味がしみ出る強烈な肉の旨味……濃い、驚くほど濃い! 口に入れた瞬間の迫力があまりにも凄まじい。いわゆるブロイラーが草野球選手なら、奥久慈しゃもは完全にメジャーリーガー。これが公認の実力、本物の味なのかよ。

しっかり引き締まっていて歯応えも抜群。実にたくましい味だ。甘辛い金平ゴボウや長ネギ焼きともよく合うし、炊き込みご飯も進む。しかも、しゃも肉のそぼろも入っているから、ラストひと口まで奥久慈しゃもを味わうことができる!

結論としては、買ったまま常温で食べる駅弁としてかなり有能! 見た目こそ地味ではあるが、味がしっかり濃いいいいからだ。本来であれば、鈍行に揺られながらじっくりと味わいたい。ま、オフィスでも十分に茨城の美味しさを感じることはできたぞ。

最後に販売場所は、水戸駅や勝田駅の「NewDays」はもちろん、東京駅や新宿駅の駅弁屋などなど。お値段以上に高級感のある駅弁なので、機会があれば、奥久慈しゃもの強さ・たくましさを感じてみてほしい。うーむ、マジで強かった……!


・今回の駅弁を購入した店舗の詳細データ

店名 駅弁屋 頂
住所 東京都新宿区新宿3-38-1 JR新宿駅内南口コンコース
時間 6:30~22:00
休日 無休

執筆:砂子間正貫
Photo:RocketNews24.