初代『シーマン』(ドリームキャスト版)をプレイし始めて半年。最終的にシーマンも細川俊之もいなくなった……という件については以前の記事でお伝えした。「真剣に世話をしたのか」と言われると、実は自信がない部分もある。なんせ2〜3日放置したりしたからなァ……。

心から反省した私は、シーマンのプレイデータを一旦リセット。今回シーマンが成長するまで1日も休まず会社へ行き、毎日マジメにログインし続けることを決意した。もちろん土日だって会社へ行っちゃうぞ! これもシーマンのためだ。

ちなみに、なぜ自宅でプレイしないのかというと、ウチのテレビとドリキャスが接続できなかったからである。レトロゲームもラクじゃないよ。

・前回までのハイライト

前回の記事でお伝えした通り、私はシーマンをプレイするにあたって「どれだけ行き詰まっても攻略サイトを見ない」というルールを設けている。

半年間プレイしたにも関わらずシーマンが第二形態『ギルマン』(稚魚のような状態)までしか成長しなかった理由について、個人的に思い当たるのは「毎日ログインしたわけではない」「1回のログイン時間が短かったかもしれない(1回10分ほど)」という2点だ。

そういった反省点をふまえながら、今回は最低でもギルマンを次の形態まで進化させることを目標にしよう。プレイ開始日(4月6日)の翌日、さっそくノーチラス(巻貝のような生物)が動き始めたぞ。

あとは水槽をトントン叩いてマッシュルーマー(シーマンの幼生のようなもの)をノーチラスの近くへ誘導。半年前はこの光景に大変なショックを受けたものだが、のべ3回もプレイすれば慣れてしまった。


マッシュルーマーを飲み込んだノーチラスはウゾゾゾ……ともがきながら殻の外へ。



相変わらずショッキングな映像だな。



デロリ……とした目が完全にホラーのソレだろ。



ドス黒い体液を吐きながら断末魔を上げるノーチラス。


その体内から爆誕するギルマンたち! 何度も言うけど、よくこのゲームが大ヒットしたよな? 平成って大らかな時代だったんだな〜!


・ムッシュ・ガゼーの実験室

さて、ここまでが新規プレイ開始から2日間でのできごとである。それからも私は毎日必ず2回はログインし、水温や酸素濃度をこまめに確認。しかし……10日たってもギルマンたちの様子に変化は見られない。

前回はこの状態でゲームが進行しなくなってしまったワケだから、ここが正念場である。私は初心にかえってゲームの流れを再確認……すると、ナレーションの細川俊之が冒頭で「ここはムッシュ・ガゼーの実験室」と発言していることが気になり始めた。

「実験室」というからには何か実験を行うはず。水槽内に実験器具などは見当たらないが、なんせドリキャスはリセットひとつ行うにも「A + B + X + Y + スタートボタン同時押し」という複雑な入力をせねばならぬハード。よ〜く探せば隠しコマンド的なものがあるかもしれない。


カチャカチャとコントローラーを押しまくること数分……



ワーッ! ついに「シーマンをツマむ」というコマンドを発見したぞォ!


ビックリしすぎてあやうく漏らしそうになったのだが、ともかくツマまれたギルマンは大変喜んでいるようだ。この段階でギルマンは意味不明な言葉を発しており、その声は赤ちゃんのようで非常に愛らしい。水槽に戻してやると「アハハ!」と楽しそうに笑っておる。

考えてみれば私はこれまで「とにかくログインすればいいんでしょ」という態度でギルマンを世話していたのかもしれない。生き物を育てるからにはしっかり観察し、慈しみの心を持って向き合うべきなのだ。


・大切な気づきを得た

私がこの大いなる気づきを得たのは4月18日のこと。そこからはマイクに向かって「おはよう」などと語りかけ、可能な限りギルマンたちとコミュニケーションをとることを心がけた。

すると…………4匹のギルマンたちはスクスク成長。2日後には「暑いってば〜」「やめて、くすぐるの!」などと、人間の言葉を発するようになったのである! なんて……なんてカワイらしいんだ!! シーマンがこんなにカワイイとは正直知らんかった!!!

成長するにつれて「やめろって言ってんだろ!」などと、やや口が悪くはなってきたものの、まぁ子どもってそんなもんだろう。わんぱくでもいい、たくましく育ってほしい。すでに気分は母親だ。もう「実験室」じゃなくて「保育園」に変更したほうがいいんじゃないのか?

……などと思っていた昼下がりに事件は起きた。

1匹のギルマンが突然、不思議なことを言い出したのである。空耳だろうか? 注意深く耳をすましてみよう……


「誰か、俺の血を吸ってるよ」



ア、ア、アーーーーーーーーーーッ!!!!!!!!?


・吸ってるゥゥゥゥ!!!!!

そのとき見た衝撃的な光景を、私は生涯忘れないだろう。なんと1匹のギルマンが頭上に生えた触手を使って別ギルマンの体液を吸っているではないか。


や、やめろよおぉぉぉぉぉ!!!!! お前ら兄弟だろ!? どうにか2匹を引き離そうとボタンを連打するも……



時すでに遅く……





吸血されたギルマンが再び泳ぎ出すことはなかった。


……ハッ! 他の子達は無事だろうか!?




アアーー!!! もう1匹吸われてるゥゥゥゥゥゥゥ!!!!!!!!!!!!!!


・自然界の摂理的な展開

動かなくなった2匹のギルマンを前に、私は “ライオンに食べられるシマウマを見た時のような気持ち” になった。シマウマは確かにかわいそうだが、決してライオンが悪いわけではない。このことは自然界の摂理なのである。

そう考えると兄弟の血を吸って成長することもまた、悲しいけれどシーマンの生態なのだろう。最後は水槽の底に沈んでいった2匹の屍。君たちの体はやがて土に還り、生き残った兄弟たちと同化する。もしかすると魂の均一化的な、人類補完計画的な意味合いも含まれて……いるのかもしれない。

それにしてもシーマンがこんなに深い作品だったとは、正直全く想像していなかった。「生き残った2匹がまた吸血し合うのでは」と内心ヒヤヒヤしていたが、現在のところ共存している様子でホッとした。悲しいけど生き残った2匹を大切に育ててゆこうと心に誓う私。


ところが………………!


成長したギルマン達が “声変わり” したのは4月26日のこと。「キャハハ」という可愛らしい声から、「ホホホ」と笑うオッサン声に大激変してしまったのである。しかもオッサンの中でも “オタクっぽいオッサン” だ。これも成長の過程とはいえ、突然すぎて全然愛せねぇ……!

とはいえプレイ開始から1カ月で、前回より格段に進んだことだけは間違いない。このオッサンがまだ稚魚の状態というのが恐ろしいが……何にせよ私は明日以降も真剣に彼らを育ててゆくしかないだろう。「命を預かる」とはそういうことだから……。

執筆:亀沢郁奈
Photo:RocketNews24.

▼昨日ついに『虫カゴ』機能が使えるようになったぞ。うまく使いこなせるのでしょうか……?