回転寿司界のキャンペーンの鬼・スシロー。確変なみに熱かった「GoTo超スシロー」がフィナーレを迎えたかと思ったら、「とろとろ祭」が再び激アツだったことは以前の記事でお伝えしている通りだ。

だがしかし、キャンペーンの高級皿だけに気を取られるのはもったいない。水面下で最安2貫100円皿も変化しているからだ。まさに、地球内部で激動するマントルのごとし。よりスシローのコアに近い部分で、2021年3月に発生した高コスパネタ3選を識者に聞いた。

・鮮魚久良々さん

話を伺ったのは、回転寿司マニアでお馴染みの鮮魚久良々(せんぎょくらら)さん。回転寿司の魅力に取りつかれ、30年以上回転寿司を観測し続けてきた会社員である。


鮮魚久良々「最初に言わせてください。馬刺しねぎとろ超ウメェェェエエエ! これ絶対食べた方がいいですよ」

──開口一番、有無を言わさず薦められたため食べてみたところ、馬刺しの滑らかな肉感とユッケダレがトロけるようなハーモニーを奏でる。確かにウマイ。が、これは150円皿(都市型店舗は170円)だ。鮮魚さん、伺いたいのは2貫100円皿(都市型店舗は120円)の高コスパネタなんですよ


鮮魚久良々「すみません。馬刺しねぎとろのあまりのウマさに我を忘れてしまいました。これまで同様、店舗によって販売されていなかったりするかもしれませんが、それでも良ければオススメさせていただきます」


──よろしくお願いします


・春の訪れをネタで感じる

鮮魚久良々「まず、大きな変化としてぶりが常識的なサイズに戻ってます。寒ぶりの旬は2月までなので、私はこのサイズ変化で春の到来を感じました


──風流ですね


鮮魚久良々「さらに、『国産かんぱち』が登場しています。かんぱちの旬は夏から秋と言われてますが、そんなに味に変化がないのでこの時期に使われることも多いんですよね。ますます春だなあ……と」

──そこでかんぱちを食べてみたところ、コリッとした身が印象的。ぶりに比べると淡泊な味なのでより食感が際立っている。あっさりした赤身魚が食べたい時は良いだろう。


鮮魚久良々「旬で言えば、初鰹も登場してますね。にぎりと軍艦『かつおユッケ』がありますが、私は軍艦ユッケの方をオススメします。にぎりで食べるとあっさりしてるんですけども、スシローのユッケダレのコクがそんな初鰹の味にマッチしてるんですね

──両方食べてみると、にぎりはネタがドカッとしていて食べごたえがある。一方、軍艦は、かつおの動物的な肉の味の強さをユッケダレがまろやかに包んでいた。これは組み合わせの妙。欠けたピースを埋めている感じがする。


鮮魚久良々「とは言え、私が今月1番スシローを感じたのは別のネタなんですよね」


──と言うと


・スシローのダークサイド

鮮魚久良々「かんぱちもかつおもこの時期の王道という感じです。しかし、フライドポテトや、カニカマ天にぎりなど、寿司屋の枠に留まらずウマさを追求する側面もまた忘れてはいけないスシローの顔。そういう邪道な部分も味わって初めてスシローを理解できるのだと思います」


──と、その時、我々の席のレーンが音を立てて開く。照明をキラキラと照り返しながらレーンを流れてくるネタ。こ、これは……

炙り豚とろにぎり


鮮魚久良々「分厚いですね。大きいですね。もはや寿司ネタではありませんね。しかし、紛れもなくウマイ。これぞスシローのダークサイドと言えるでしょう。塩で召し上がれ」

──確かに寿司ネタとしては邪道! だが、豚肉の旨味が塩で引き締められた味は激ウマだ!! そのあふれ出す肉の味には有無を言わさぬパンチ力がある。これがスシローのダークサイド……!!

キャンペーンの力だけに頼らず、今月もきっちりマニア納得の2貫100円皿を出していたスシロー。ニュースにはならずとも知ってる人は知っている。激動するスシローの真の姿をその舌に焼き付けろ!

執筆:中澤星児
Photo:Rocketnews24.