2021年……自分で作ったキャラクターを誰もが簡単にフィギュア化できる、そんな夢のような世界が現実になった。

フリーソフト「VRoid Studio」で作成したデータを送ると、税込9900円から3DプリントしてくれるpixivFACTORYのサービスが始まったのだ。必要なのはちょっとした慣れと1万円札だけ。ついに、ついに時代はここまで来たか。

モデリングに関しては素人だが、なんとしてもやってみたい! その一部始終を、データ作成編と実際のフィギュア紹介編に分けてレポートしたいと思う。


・「VRoid Studio」(フリーソフト)

さっそくVRoid Studioをインストールしてみる。Steam版、Windows版、macOS版がある。

無料で利用できるフリーソフトだが、PCの要求スペックは結構高いのではないかと思う。最新ゲームがぬるぬる動くゲーミングPCでも時々カクつく。

おおっ、ソフトを起動すると最初から「素体」が用意されていて、人体ができあがっている。すでにこの状態で、関節を動かして360度から撮影できる。

しかもCC0(クリエイティブ・コモンズ・ライセンス 0)で、自由に改変し再利用できるデータだ。神か!

身長、鼻の高さ、目の角度などなど、数え切れないくらいの項目をスライダーでアレンジ可能。それがリアルタイムで反映される。まるでゲームのキャラクターメイクをする感覚だ。

なにもしなくても、すでにカワイイ! いつから3Dキャラづくりこんなに簡単になった!?

筆者は3DCGを本格的に勉強したことはないが、大昔「Milkshape 3D」というシェアウェアを触ったことがある。

当時人気の生活シミュレーションゲームに、アニメや漫画のキャラクターを登場させて遊ぶのが流行っていて、データを自作していたのだ。お気に入りのキャラクターの暮らしを箱庭のように眺めるという、実にオタクな遊びだった。

そこでの作業は、ひたすら三角形を組み合わせてメッシュ(骨組み)を作り、テクスチャを貼りつけ、関節を登録して……と、とにかく手間がかかった。それに比べたらVRoid Studioの作業の簡略化はものすごい!!

ただし熟練者によると、イチからオリジナルで作るのと違って「どう作ってもVRoidっぽくなる」のが悩みだそう。たしかに統一感のあるアニメ絵で、個性は出しにくいかもしれない。


・キャラクター作成

では、発注するためのデータを作ってみよう。フィギュア化できるのは「著作権や肖像権を侵害しないもの」なので、オリジナルキャラということになるだろう。といっても、あいにく持ちキャラなんていないので、ロケットニュース24をイメージして新たに作ってみよう!

衣装もすでにサンプルがいくつか収録されている。びっくりしたのが、アレンジの仕方。

たとえばサンプルの長袖をノースリーブにしたいときは、テクスチャ(表面に貼る絵)を消しゴムツールで消すだけ。その部分は「ないこと」になって、下の素肌が透過するのだ。つまりメッシュ(骨組み)をいじる必要がない!

デジタルで絵を描く人なら、上のレイヤーを消したら下のレイヤーが出てくるのは当たり前でしょ、と思うかもしれないが、3DCGは立体としてのいろいろな情報をもっている。その部分をいじらなくてもいいのは、すごい省エネだ!

本格的に衣装の色替えやデザイン替えをしたいときは、別途お絵かきソフトで描画する必要がある。

衣装には当サイトのイメージカラーの赤を使おう。ロケットみたいな流線型の丸いシルエットで……

さらにサンプルをアレンジして、ノースリーブとショートパンツの組み合わせにした。当サイトらしい、今にも発射しそうな活発なイメージにしたいから……と理由をつけてみるが、単に女子の手足のシルエットが好きだからだ。


さっそくアレンジしたテクスチャをインポートしてみると……


うわぁ……そこはかとないダサさのただよう衣装になった。


背中の「24」もなぜかイタい。萌えキャラって難しい……。


初めて触るツールなので、考えたことを実現する方法がわからないというのもある。

「これってできるのかな?」と思いついても、理想に技術が追いつかない状態だ。袖をつけたり取ったり、スカートを広げたりすぼめたりと、あれこれ試行錯誤してみるが……

まぁ、ちょっとあか抜けないのも当サイトらしいし、いいか(妥協)。


・髪の毛を作る

衣装が固まったので、髪の毛にいこう。フェイスはほとんどデフォルトだけれど、ここでも元気な感じを出したかったのでつり目、つり眉にして、くっきりした目鼻立ちにしたぞ。

髪型編集の段階でもびっくりの連続。「プロシージャルヘア」という半自動の描画機能があって、パラメーターの調整だけで「それらしい髪束」が描ける! これは奇跡か? 奇跡を目撃しているのか!?

ロケットのアイコンから、フィン? 羽根? をイメージしたツインテールにする。ウルトラの母みたいな。

髪色はもちろんイメージカラーの燃えるような赤だ。目や眉の色も赤っぽくする。

彼女にはまだ名前はないが、便宜上「ロケットちゃん(仮)」と呼んでおこう。筆者が勝手に作っているものだから、公式じゃないぞ。


・ポージング

ここまでで約半日。ツールを手探りしながらなので効率はあまりよくない。本当はツールの使い方に熟練すれば、もっといろいろな機能が使えると思う。

今回は早くフィギュア化したものが見たいから突貫工事で進める。入稿のためのポージングに入ろう。

フィギュアって実際の人間ではあり得ないような体勢をしていることが多いが、サンプルポーズやアニメーションもあらかじめ登録されているから、そこからアレンジできる。

自分がデザインしたキャラクターが動いているのを見るのって感動だ。まさかこんな日が来ようとは……。オタクエネルギーが生み出す文化はどこまで発展してしまうのか?

ちなみにこの撮影モードは時間泥棒。表情、姿勢、風や光の演出など、いろいろ試し始めると「あ、このポーズいい!」「こっちの表情もいい!」とキリがない。至福である。

3DCGあるあるだが、体勢によっては髪が身体を突き抜けてしまったりするから、角度を微調整する。ここでも「飛び出せロケット!」な感じをイメージした。


・仕上がりはいかに

データをエクスポートしてpixivFACTORYに発注! 完成品のサイズは3種類あり、10cm(税込9900円)、12cm(税込1万5940円)、15cm(税込2万1780円)だ。別途送料がかかる。

発送までは約20営業日だというから、気長に待とう。後編では完成品をレポートするので乞うご期待!


参考リンク:pixivFACTORY
執筆:冨樫さや
Photo:RocketNews24.
ScreenShot:VRoid Studio
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