近所のスーパー『サミット』で新商品を見つけたのだが、これほど中身が想像しづらいケースも珍しい。ただ「一度試してみて!!」と手書きのポップが添えられ、棚の一番目立つ位置に置かれているあたり、サミットがイチオシする商品に違いないだろう。

そんなサミットの情熱を感じた私は導かれるまま『魅惑のハリッサ』を購入。正体は調味料のようだ。よく見るとパッケージに「地中海生まれ」と書かれているぞ。ちなみに地中海の広さは日本海の約2.5倍……いや、さすがに範囲ザックリしすぎだろ!!

・漠然にも程がある

『魅惑のハリッサ』はハウス食品から今年2月に発売されたばかり。95グラム入りで購入価格は税込321円。高いのか安いのか見当もつかない。

説明書きには「唐辛子にクミン等のスパイスを合わせた万能調味料です」とある。結局どういうことなのかイマイチ分からないうえ、パッケージを隅々まで読み込んでも「地中海生まれ」以外のヒントが見当たらないのだった。


・スペイン人に聞いてみた

「地中海生まれ」という表現がいかにザックリしたものであるか……それは “地中海に面した国は20カ国以上ある” と考えれば見えてくるハズ。それぞれに気候も文化も異なるため、さすがに「全ての国でハリッサが一般的に食べられている」とは考えにくいからだ。

ちなみに私が個人的に『地中海』と聞いてイメージするのは、スペインやギリシャなど南ヨーロッパの国々。

しかし調べた結果、ハリッサが食べられているのはモロッコやチュニジアといった、同じ地中海沿いでもアフリカ側の『マグリブ地域』が中心。


念のためスペイン在住の友人にも確認したところ、やはり「ハリッサって知らない」という証言が飛び出したぞ! ホラね! 以上のことから “メーカーが意図的に範囲をごまかしている疑惑” が浮上したと言えるのではないだろうか!!?


……


……


まぁ、とはいえ「マグリブ生まれ」じゃピンと来ないし、「モロッコやチュニジア周辺生まれ」だとキャッチーさに欠けるのも事実。消費者に分かりやすく伝えようとした結果が「地中海生まれ」だったのかも知れないから、むやみに責めるのはよくない。

ちなみに私はハリッサをひと舐めした瞬間、この味を的確に表現するワードをひらめいたぞ。それはズバリ……


タンドリーチキン味だ!!!


・万能ゆえの曖昧さ

かなり手間がかかる料理として知られるタンドリーチキン。その味に激似という時点で、すでに相当使える調味料の部類と言っていいだろう。

ハリッサの食べ方についてパッケージには “お肉・煮込み料理・パン・サラダ等のアクセントに” と書かれているが、これまたザックリしていて素人には難しい。幸いサミットのポップに1つだけ、メチャクチャ具体的な料理名が記されていたのでお伝えしよう。


「ぎょうざ」である。


・餃子に付けてみた

マグリブ地域の調味料がインド発祥のタンドリーチキンに似ていて、あまつさえ中国発祥の餃子によく合う……なんとも奇妙な話だが、サミットの人が言うなら信じてみようではないか。

さっそく当サイトの餃子ツウ・原田記者にハリッサで餃子を食べてもらうと……


原田「ムムッ!!!!!」



原田「中東の風を感じる!」


・多少盛ってでもオススメしたい

なんと当サイト随一の貧乏舌(びんぼうじた)の持ち主として知られる原田記者、ハリッサ餃子を「中東の味がする」と一発で見抜いた!

ちなみに彼は地中海とオホーツク海の違いも分からないタイプ。仮に「地中海」をカンニングしていたとしても、まぐれでは絶対「中東」に辿り着けないだろう。

「中東の風が吹いた」というのは原田記者が語彙力を振り絞って生み出してくれたワード。「それほどおいしい」と伝えたかったらしい。ありがとう。

ハリッサという調味料はそのまま食べるとけっこう辛いのだが、不思議なことに料理と合わせれば辛さをさほど感じない。シュウマイや唐揚げなどでも試してみたところ、今のところ全てとよく合っている。

この味をあえて言葉にしろと言われたら、確かに「どんな料理にも合う万能調味料」としか言いようがないかもしれない。でも、それだとインパクトに欠けるから……「地中海生まれの」って付けちゃう気持ちも分かるな〜!

特徴がありすぎて逆に説明しづらいハリッサ。一口食べたらきっとあなたも「多少盛ってでも世に広めたい」と思うだろう。

参考リンク:ハウス食品
執筆:亀沢郁奈
Photo:RocketNews24.