スシローが最高にアツい。もちろんスシローはいつだって素晴らしいと思うが、特に今の、具体的には3月3日からのスシローはぶっちぎっていると思う。

なぜって、面白さと美味さが素晴らしく高いレベルで実現され、もはやテーマパーク……と言っても過言では無い状態にあるような体験ができたからだ。

・とろとろ祭

そう思う理由のおよそ66%くらいは、2021年3月3日から14日まで期間で開催中の「とろとろ祭」にある。このフェアについては事前に告知をチラ見していたが、正直言うと注目していなかった。

フェアの名前的に、きっと本鮪の「大とろ」が安く食べられるんだろう……程度に思っていたからだ。いや、こう書くと誤解を生みそうなので補足させていただくが、もちろんそれ自体は心底有難いことだ

良質な「大とろ」をコスパ良くお腹いっぱいに食べられるというのは素晴らしい。きっと日本で誰に聞いても、この点について異論はほぼ出ないだろう。

しかし、あまりにもユニバーサルな「素晴らしいこと」だからだろうか。良質な「大とろ」を安く食べさせてくれる系のフェアは、それなりな頻度で回転寿司チェーン各社が実施してくれているように思うのだ。

つまり、有難くはあるが、消費者が「大とろ」関連のフェアに遭遇できる頻度的には、そこまで珍しくはない……と。が、なんとなくスシローのフェアに関するページを見ていたところ「ある寿司」が目に止まり、認識は急変した。


アブラボウズ


アブラボウズとは、そこそこ高級な深海魚。小田原などの産地周辺なら、それなりに市場で出会えるだろう。しかし、それ以外の地域では滅多に見かけないのではなかろうか。売られていても、結構なお値段だと思う。

産地以外で具体的にどれほど出回っているのかは分からないが、かつて築地に入荷された際にはニュースになった程度にレアな魚だ。

アブラボウズという名の通り、凄まじい量の脂をボディに蓄えているのが特徴。脂が乗りまくったプルプルで甘い白身は、どこを食べても大トロ……的な言われ方をされることもある。


・至高の白身

そんな魚を、回転ずしで食べられるというのは希少な事態に違いない。これは食べるしかないだろう……! ということで、こちらがさっそく注文したアブラボウズ。


HPでは税抜き150円となっているが、「都市型店舗」である「スシロー南池袋店」では税抜き170円だった。他の「都市型店舗」で食べる際も値段が違うと思われるので、その点はご注意を。

話をアブラボウズに戻そう。白い方が生で、やや茶色いほうが炙ったものだ。生の方を見て頂きたい。どうだろう。一般的な白身魚とは違う、のっぺりした独特な質感が伝わるだろうか?


食べてみると、臭みはゼロで、魚らしからぬプニプニした白身、もとい、濃厚な脂のカタマリなのがわかる。それがほどよい歯ごたえの後に、サラサラとトゥルトゥルの間くらいの感じで瞬く間に溶けていく。そして広がるほのかな甘みと旨味

勝手に静かな笑いが漏れてくる。脂がギトつかないのかと言われると、まあそれなりにギトつくというか、ねっとりしている。しかしそこに不快感は無い。あらゆるトロ系と比較しても上位に来るウマさ。是非実際に食べてみて欲しい。


・ウマい背徳感

実は「とろとろ祭」で特に気になったものが、アブラボウズの他にもう一つある。HPで見た瞬間に、なんと荒々しいメニューだと。それが「濃厚うにまぜそば」である。通常の店舗では税抜き380円で、都市型店舗だと税抜き400円。


もはや寿司ではなくて恐縮だ。しかしどうだこれは。新鮮なウニをエイヤっと麺にブッかけるパワープレイ。ちなみに麺はアツアツ。添えられているのは大葉と海苔。

見るからにウマいことは明らかだが、食べてみるとこれが予想以上にジャンク系なウマさ。別のウニ系メニューな「漬けウニ包み」の、正統派で上品なウニの寿司らしいウマさと比べると、麺にブッかけられた方のウニに背徳感を覚えるレベル。


ちょっとウニに悪いことしたかもなぁ。ごめんよウニ、でも美味くて止まらねぇ……ッ!


他にも、炙られた皮はコリコリなのに、内側はクニクニな新食感が面白い「とろきんきの炙り」(通常の店舗は税抜き300円)や


定番の「大とろ」(通常の店舗は税抜き100円)なども素晴らしかったぞ!


・前代未聞

そしてまだ一つ、今のスシローがアツいと思った理由が残っている。それが、前代未聞な「特大活〆穴子天ぷら一本勝負」である。お値段は通常の店舗なら税抜き480円。


えっ、普通の穴子の天ぷらじゃん? パッと見たらそう思うかもしれない。しかしこちら、横から見ると、こうなっている。


意味不明にも程があるだろ! いい加減にしろ!! ソ連が計画した巨大航空機にこういうのありそう。しかしこれは、寿司なのだろうか? 初めて遭遇するタイプのものなので、どう受け止めればいいのかわからない。

ちなみに大根おろしが端の方に添えられており、別の皿に入った天つゆもついてくる。


見た目はツッコミを入れる隙だらけのこちら。しかしいざ食べてみると、ウマさに隙は無かった。とりあえず箸で分断してみると、パリパリサクサクと音を立てて割れる衣。そして出てくるフワフワの穴子。脂のテカりがウマそうだ。


大根おろしを乗せ、つゆをつけて、シャリと共に食べてみると……そのブッ飛んだ外見に反し、全てが高い完成度で整っている。もはやメインディッシュの風格すら感じる。

とまあこんな感じで、今のスシローにはしっかりとウマく、しかも色々な方向で興味深い特徴的な限定メニューが揃っているのだ。特にアブラボウズは一押し。

なお、アブラボウズと「特大活〆穴子天ぷら一本勝負」は売り切れ次第終了とのこと。他のメニューについても、価格が店舗によって違ったり、取り扱いが無かったりするもよう。そして、当日販売分にも限りがあるとのこと。さあ、スシローに急げ!

参考リンク:スシロー[1][2]、日本経済新聞
執筆:江川資具
Photo:RocketNews24.