東京ならどこにでもあるのが立ち食いそば屋。しかし、どこにでもあるからと言って適当に入ると、つゆが単調だったりノビたそばが出てきたり地雷も結構多い

そこで立ち食いそば251店を食べた私(中澤)が、何度も通った実体験に基づき、地域ごとに安定の立ち食いそば屋をご紹介しよう。今回は激戦区、秋葉原~御徒町の立ち食いそば屋ベスト5だ!

・5位「かめや御徒町店

例えば、東京外の友達が遊びに来た時、「良い感じの立ち食いそば屋ない?」と聞かれたら、私はまずはかめやをオススメする。かめやはそれほどに入門的な立ち食いそば屋だ。

甘さ控えめだが、コク深いつゆの味。そんなつゆが染み込みふわっと口の中で解ける大きい天ぷら。そして、固まりきらないクリーミーな黄身の卵。ぜひ天玉そば(税込450円)を食べて欲しい。昔ながらの佇まいで、夜に通りかかると柔らかい明かりが幻想的な雰囲気さえ放つ御徒町店は、まさに味のある店と言えるだろう。


・4位「二葉(ふたば)

壁にズラーッと並ぶ天ぷらの名前。かき揚げ天、しゅん菊天、げそ天、イカ天などはもちろん、キス天、アジ天、にんじん天、アサリかき揚げに貝柱かき揚げとなんでもござれ。

そんな天ぷらは、甘みのあるつゆとの相性がまた良い。強いて言うなら麺は普通なのだが、かき揚げ天そばが370円、しゅん菊天そばでも390円と、400円以下で食べることができるのは高コスパ。「安さ」「手軽さ」という立ち食いそば屋の魅力を追求している店だ。


・3位「三丁目

安さで言えば、東京メトロ日比谷線仲御徒町駅前にある「三丁目」もオススメ。特に、7時から10時までのタイムサービスである朝そばは300円と破格で、出社前の一杯には持ってこい。

鶏だしというのも立ち食いそばには珍しく、そのコク深い味は体が温まる。麺も締まっていて価格にしてはまずまずだ。とり天トッピングで鶏三昧というのも乙だし、その他、日替わりでの海鮮三点盛りや、野菜三点盛りなど、ガッツリいきたい気持ちも満たしてくれるメニューがあり、バランスに優れた立ち食いそば屋と言える。


・2位「みのがさ

秋葉原~御徒町に3店舗を展開する「みのがさ」は、麺が特徴的なそば屋だ。そばの本場・戸隠に契約畑があり、そこで採れるプレミアム蕎麦粉を使用した細く丸い麺はまさにこの店だけの味である。

しかし、そんなそばのウマさに胡坐(あぐら)をかくことなく、カレーや天丼などのご飯ものや、弁当も全部ウマイのが私が通ってしまう理由。しかも、ご飯ものにおいては店舗ごとに結構個性がある。個人的には、蔵前橋通り店の焼肉丼が激ウマだった


・1位「川一(かわいち)

名店ひしめく秋葉原だが、私が最強だと思うのが「川一」だ。コク深い濃厚なつゆ、心地よさすら感じるキリッとしたそば、そして、素材の旨み染み出すトッピング。その三位一体の味には、もはや高級感すら漂っている

それでいて価格帯もワンコイン前後なのは高コスパ。立ち食いそばにしておくには惜しいそば屋と言えよう。ただし、土・日・祝が休みで、平日の営業時間も7時から16時までと短めなのでご注意を。「次食べられるのはいつかな?」と楽しみになる稀有な立ち食いそば屋だ


──以上、名店ひしめく秋葉原~御徒町の立ち食いそば屋ベスト5をご紹介した。他にも、秋葉原駅の『新田毎』や暗黒そばの雄『野むら』『岩本町スタンドそば』も個性的で有名な店ではあるが、ベスト5にランクインしなかったのは「さすが激戦区」と言う他ない

また、昨年、店主が亡くなったことにより閉店した『あきば』も忘れてはならない。キュッとしまったのど越しの良いそばは、秋葉原の立ち食いそばに欠かせない存在だった。存命なら1、2を争ったに違いない。この場を借りてご冥福をお祈りいたします。

同じく昨年、ビルの建て替えで閉店した『六文そば 昌平橋店』しかり、2020年は名店の閉店が目立った。東京ならどこにでもある立ち食いそば屋だが、いつまでもあるとは限らない。だからここに残そう。少しでも、秋葉原~御徒町で立ち食いそばを探す人の参考になれば幸いだ。

執筆:中澤星児
Photo:Rocketnews24.


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