本日1月31日は「愛妻の日」らしい。妻というもっとも身近な他人を大切にする──。実に素晴らしい日ではないか。ただ私(あひるねこ)が思うに、誰かを大切にするには、まずその人について深く理解する必要がある。愛は理解の別名なり。だから相手のことを知ろう。すべてはそれからだ。

もうすぐ産後5カ月になる私の妻は、毎晩自分の胸に「電動搾乳(さくにゅう)器」を当てて、空気圧で母乳を搾っている。ウィーウン! ウィーウン! という機械音と共に乳房に吸い付く搾乳器。あれって吸われている方は……一体どんな気分なんだろう? そこで妻の気持ちを知るべく、私も搾乳器で自分の乳を吸ってみることにした。

・妻の必須アイテム

男性にとっては未知なる機械、電動搾乳器。妻によると、出産後は定期的に母乳を出さないと乳腺の中に母乳が溜まってしまい(出ない人もいます)、場合によっては炎症を起こして「(うっ滞性)乳腺炎」という病気になってしまうことがあるらしい。



また、母乳が溜まると胸が激しく痛むので、それを解消するためにも搾乳器を使って搾り取ってやる必要があるそうだ。もちろん、この時の母乳は後で赤ちゃんに与えることができる。妻にとって電動搾乳器は、もはや無くてはならない存在と言えるだろう。


というワケで……


さっそく私も乳を吸ってみたい。


・初搾乳

どうやらダイヤルで吸引の強さを調節できるようだ。と言っても、さすがに怖いので、まずは6段階中もっとも弱い「1」で試すことにする。吸盤みたいな形の搾乳口を片胸に当ててみると……


ウィーウン! ウィーウン!


く、くふゥゥゥゥゥゥウウウ! 何だこれは……!! 乳首から乳輪周りにかけてハチャメチャに吸ってくるではないか。妻によると、吸われている間は胸のしこりが取れて流れていくような感覚らしいのだが……うん、全然分からねぇ。



・足りない

もしかしたら吸引が弱すぎたのかもしれない。聞くと、妻はいつも6段階中「4」で搾乳しているという。なるほど、だったら私もそうするしかあるまい。「1」から「4」にパワーアップだ……!



ウィーウン!! ウィーウン!!


ぐ、ぐぎィィィィィィイイイイ! 吸う速さは変わらないものの、重みが増したような気がする。こ、これが……妻が毎日のように味わっている吸引力……!! だがしかし、この程度ではまたまだ妻の気持ちを理解できたとは言い難い。こうなったら登るしかねぇ……! テッペンまで……!!


行っけェェェェェエエエエエ!


ウィーウン!!! ウィーウン!!!


あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙! 待って待ってちょっと待って! しゅごいしゅごいしゅごいーーーーーーーーーー!! 乳輪から先が消滅すりゅぅぅぅぅぅぅうううう!


結論から言うと……まあ何となく察しているとは思うが、そこまで強くは吸われない。ただ、今回の私の行動がまったく無意味だったかというと、そんなことはないと思う。妻がこういった機械を使わないと耐えられないくらいの痛みを、毎日のように味わっているという事実に改めて気付けたからだ。

・人知れず

夜になると妻は「痛たたたた……」と立ち上がって搾乳器を手に取り、胸に当てながらスマホやテレビを眺めている。もはやそれは私の中で当たり前の光景となってしまったが、よく考えたらめちゃくちゃ辛くないか。理不尽な感じがしないか。そう聞くと「痛いけど、でも子供のためだから」と妻は言う。強い。

妻によれば、自動搾乳器を買ってからというもの、搾乳が劇的にラクになったそうだ。そういう意味では搾乳器にも感謝である。さっきは出もしないのに私の胸を無理やり吸わせて悪かったな。妻の痛みを軽減できるのはお前だけだ。これからもよろしく頼むぜ!



・愛妻の日

そしてそれ以上に、私も妻を大切にしていかなければならないだろう。「愛妻の日」とは今日一日だけ妻を大切にしようという日ではなく、一年間大切してきたかどうかの確認の日なんじゃないか。搾乳器で自分の乳を吸ってみた結果、また少し妻のことを知れたような気がする。たまには自分の乳も吸ってみるものである。

Report:あひるねこ
Photo:RocketNews24.