外国人にお勧めしたい「和の飲み物」と言えば何だろうか。「和食」ならいくらでも挙げられるが、「和飲料」となると難しくないだろうか。緑茶や日本酒、焼酎などが思い浮かぶものの、候補はそう多くない。もし美味しい飲料に目がない外国人にお勧めの「和飲料」を聞かれた場合、あなたは何と答えるだろうか。

そんな限定的な状況がどれだけ発生しうるのかはさておき、筆者は時おり前述のような問いについて考えることがあった。そしてつい最近、その問いに新たな答えがもたらされた。あのコカ・コーラ社とキッコーマンがコラボし、2020年10月12日に発売した画期的な新商品……「飲める和だし」によって。

改めて説明すると、件(くだん)の商品の正式名は「GO:GOOD ゴクっ!と旨い和だし」。全国の自販機やスーパーなどで販売されている(希望小売価格148円)。最大の特徴は既に書いた通り、日本コカ・コーラ社がキッコーマンの監修のもと開発した商品であるという点だ。

何とも興奮するタッグである。この2つの大企業が手を取り合ったのは何ゆえか。ただの気まぐれか。コーラと醤油の色が似ているからか。否、飲料界にとって新たな風となる「飲める和だし」を作るためだ。その結果生まれたのが「ゴクっ!と旨い和だし」である。

コカ・コーラ社の商品説明によれば、「だしの香りを引き立てつつ、飲料として飽きがくることなく飲み干せることにこだわった和だし飲料」とのことだ。未知すぎて全くピンと来ない。実際に飲んでみるしかない。

というわけで、筆者は実物を入手した。缶の形をした紙容器のパッケージだったが、その状態のまま中身を見ずに飲むことを潔しとせず、カップに移し替えることにした。そうして露わになった「ゴクっ!と旨い和だし」は、本当に「だし」そのものの見た目だった。

透き通るように輝く黄金色。加えて鼻孔をくすぐる香ばしさも、まさしく「だし」の要素である。これを飲料感覚で飲めるというのか。普段ゴクゴクと飲むものではないだけに、一抹の背徳感を覚える。だしの前で背徳感を覚える人生があるとは思いもしなかった。

ともあれ、見た目と匂いにつられるようにして飲んでみると、複雑かつ豊かな香りが口の中で優しく弾けた。味自体は思いのほか薄味ながら、かつお・昆布・あごエキスが使用されているという「飲める和だし」の旨味には柔らかな厚みがあり、味わい深いと言うほかなかった。

このかぐわしい飲み心地はクセになる。それでいて後味はすっきりとしていて、季節柄ホットな飲み物が身に沁みることもあり、どんどんと口が吸い寄せられる。なるほど、コカ・コーラ社の説明に嘘はなかった。だしの魅力が飲料という形式に何ら歪(いびつ)さを伴わず落とし込まれている。

飲み終える頃には、「ゴクっ!と旨い和だし」をすっかり飲み物として受け入れている自分がいた。ちなみに1本当たりのカロリーは2キロカロリーとなっており、そういった意味でも飲みやすい。

この「飲める和だし」が新たな「和飲料」として、広く認知される未来も近いかもしれない。今までは料理を引き立てる縁の下の力持ちのような存在だった「だし」が、縁の下から出て主役となり、日の目を浴びるのだ。その時は、よりいっそう美しく輝いてくれることだろう。

参照元:日本コカ・コーラ株式会社 プレスリリース
Report:西本大紀
Photo:Rocketnews24.
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▼あくまで飲料ではあるが、それでもやっぱり料理にも美味しく使えるそうなので、試してみたい方はぜひ

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