2020年9月30日に、松屋の公式Twitterが新しいテスト販売中のメニューを紹介した。投稿には「黒トリュフソースの海の真ん中にたたずむビ〜フハンバ〜グ」として、茶色いソースを添えられたハンバーグの写真が。

ほほう、これまたウマそう。今回は公式自らテスト中の店舗のリンクをツイートしてくれているので、ネット上の目撃情報を探す手間も省ける。さっそく実施店舗に赴き、食べつつどう評するか考えていたところ、ある致命的な事実に気づいてしまった。そもそもトリュフ味がどういうものか知らんかったな……

・黒トリュフソースのビーフハンバーグ定食

まずはこの新作の概要について、簡単にお伝えしておこうと思う。商品名は『黒トリュフソースのビーフハンバーグ定食』で、値段は並盛890円。ポテサラ付きのセットは950円だ。

新作にお馴染みの、ライス大盛り無料も完備。券売機には、にんにくを使用していることを告げる注意書きもあった。食後に人と会う予定があるなら気を付けた方がいいかも知れない。

注文から5分ほどで完成。全体の構成については、従来よりあるハンバーグ系の定食と同じような感じだ。最大の特徴は、やはりハンバーグにかかっているソースだろう。


ソースにはかなり濃厚なトロみがあり、なにやら刻まれた黒っぽいものがちらほらと見受けられる。これが黒トリュフなのだろうか?


とりあえずハンバーグを割ってみると、ジュワっとあふれ出る肉汁。柔らかすぎず、硬すぎず。絶妙な仕上がりの松屋のハンバーグ。これ単体で話題になることはあまり無い気がするが、松屋のハンバーグってかなり高いクオリティのハンバーグだと思うんだよなぁ。


・トリュフの味

しっかりとソースにからめて食べてみると……秋! 見た目通りにクリーミーで、きのこっぽい匂いがする。枯れ葉の匂いが心地いい秋の空気の中で食うと、よりウマさが引き立ちそうな秋っぽい味だ。そしてこの、濃厚なきのこっぽいフレーバーが黒トリュ……

いや待てよ? 本当にこれが黒トリュフの味なのか? そういえば、筆者は黒トリュフ味を同定できるほどに黒トリュフ経験が豊富じゃない。というか、よく考えたら黒トリュフなど食べたことが無い

ゆえに黒トリュフのものなのかは何とも言えないが、とにかく感じるのは濃厚なきのこっぽい香り。しめじとかが入ったきのこシチューなどで感じる香りと同系統のものだと思う。そしてハンバーグが肉厚でジュワジュワでウマい。ハンバーグの下に敷いてある厚切りなポテトも、ソースが良く染みていてウマい。

あらゆる側面でとにかくウマいことは確かだ。だが、トリュフ味が売りの商品を食べたにもかかわらず、食の経験値が低すぎて黒トリュフのクオリティがいかほどのものなのか判断できないとは、なんと無様な

『黒トリュフソースのビーフハンバーグ定食』の黒トリュフソースはとりあえずウマく、ハンバーグのクオリティも普段通りに高く、どことなく季節感もある味わいで、満足度は高い新商品だ。

そういった漠然とした感想こそ抱けたが、黒トリュフレベルというか、黒トリュフの質というか、そういったものについては全く何も述べられないことを許してほしい。トリュフと縁遠い人生を歩んできた筆者では「よくわからないがとにかくウマい」以上の感想に至ることができないのだ。

こうしてやや曖昧な感想と共に店を出た筆者。しかし、食べながら認識してしまった「自分にはトリュフの味が判別できない」という事実は、「とりあえずウマかった」という曖昧な感想と同じくらいに強く、曖昧な物悲しさを抱かせる。さきほどまで好ましく感じていた風に混じる枯れ葉の匂いが、今は少し哀しく感じられた。

参照元:松屋、Twitter @matuya_foods
Report:江川資具
Photo:RocketNews24.

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