「中華屋のチャーハン」をマネすることが困難な理由は “火力” にあると言われている。最近ではIHタイプの普及により、ますます家庭用コンロではあのパラパラ感を再現しづらくなったように思う。「米と卵を混ぜておく」等の裏ワザも個人的にはイマイチだ。

そんなワケで中華屋さんに敬意を込めて、私はお店で食べるものを『チャーハン』、自宅で作るのを『焼き飯』と呼び分けることにしている。いわば別モノという解釈だ。日によって「焼き飯の気分」「チャーハンの気分」とがあり、どちらもかけがえのない存在なのです。

ところが……ここのところ新型コロナの影響で、なじみの中華屋さんの閉店が早まってしまったのである。これじゃチャーハンが食べられないじゃないか!

・炭をおこそう

そこで私はハッとひらめいた。自分で火をおこせばいいのではないか、と。それならどんな高火力も思いのまま。 “チャーハンで大事なのは火力説” が正しければ、「チャーハン寄りの焼き飯」くらいは自作できるかもしれない。

さっそく私は知人宅でバーベキュー用のコンロを借りることにした。なお野外のたき火には地域によって様々なルールがあるので、事前の確認を怠らないよう注意が必要。

野外の調理には素早さが求められる。焼き飯の具材はシンプルに米と卵、あとはネギ醤油(ネギに醤油をまぜたもの)だけとしよう。味付けはごま油と塩コショウだ。


・高まる期待

それでは、いい感じに炭がボウボウと燃えてきたら中華鍋を熱する。おっ、一瞬で白い煙がたちこめてきたぞ! これは相当な火力の証!

油はケチケチせずに使うのが中華料理のコツと伝え聞く!

そこへすかさず卵を…………ってアーーーーーーーッ! しまった!!! 鍋持って、お玉も持ったら、ワタシ、どうやって撮影すんの!? 腕が3本必要な計算じゃないかーーーーー!!!!!

…………あ、なんだ…………炭の上に鍋置いてもいいのか……。


・わずか1分

そこからの出来事はあまりに高速すぎたため、特に感想などはない。確かに火は熱く中華鍋は重かったが、気にするヒマもないまま完成に至ったと言えるだろう。

煮えたぎる油に卵と米を……

ほぼ同時に投入し……

ネギ醤油、塩コショウと混ぜたら……

なんかもう完成してる匂いがするんスけど……

さすがに不安だからもう少し炒めとくか……

と、思ったけどコゲそうな雰囲気だからやめとこ! ハイ完成です! ここまでの所要時間は1分足らず

中華鍋の中身は……仕込みを疑うレベルにパラッパラだ。


・稀にみる完成度

検証の結論を先に申し上げると、やはりチャーハンの極意は火力である可能性が高そうである。私はこれまでいくつものレシピ記事を執筆してきたが、今日ほど上手くいったことはないと断言してよい。

自分で言うのもなんだけど、味も見た目も中華屋のチャーハンと見分けがつかぬ仕上がりだ。私はあっさり人生初の『チャーハン』を作り上げてしまった。厳密に言うと少し塩が足りなかったかもしれないが、そこは次に生かせばいい。

とにかく重要なのは「パラパラ感」である。これほどパラパラなチャーハンを自分が作ったとはマジで信じられない。しかも簡単でウマい……炭火、いくらなんでもスゴすぎるな!!!

ちなみに私は人生で数えるほどしか中華鍋を扱ったことがない素人だから、この条件ならほぼ誰でもパラパラチャーハンが作れると考えてよさそうだ。火をおこすまでは少し苦労するが、キャンプやバーベキューのついでに皆さんもぜひ、ぜひチャーハンを試してみてくれないだろうか! ソンはさせない……と思う!

Report:亀沢郁奈
Photo:RocketNews24.

▼残った炭でお肉も焼きました