昔々その昔、自身が幼い頃に遊んだ数々のおもちゃたち。残念ながらその多くは絶滅してしまっていると思われるが、中には数十年の時を経た今でも第一線で活躍する「ロングセラー商品」も存在する。例えばタカラトミーの『黒ひげ危機一発』だ。

黒ひげ危機一発──。日本人なら誰もが知る超定番ゲームであるが、果たして今の子供は『黒ひげ危機一発』にどんな反応を示すのだろうか? 私、P.K.サンジュンの愛娘、3歳11カ月のレイちゃんで試してみることにした。

・1975年発売

タカラトミーの特設サイトによると、黒ひげ危機一発の誕生は1975年。つまりは今年で45歳ということになる。同じ年齢には米倉涼子さん、内田有紀さん、バカリズムさんなど、そうそうたるメンバーが揃っているが、知名度ならば『黒ひげ危機一発』もヒケを取らない。それほど『黒ひげ危機一発』の存在感は圧倒的だ。

今回購入した『黒ひげ危機一発』も当然のようにおもちゃ屋に並んでいたから、やはりロングセラー商品は違う。メーカー希望小売価格は税抜き1980円(購入したヨドバシでは1490円)と、おもちゃにしては比較的リーズナブルなのも魅力的だ。

なお、黒ひげ危機一発の対象年齢は4歳以上だが、娘は3歳11カ月。今回は「ギリセーフ」と判断した。もちろん娘が黒ひげ危機一発で遊んだ経験は無く、今回が初トライということになる。45年もの間、日本中に笑顔とドキドキを届けてきた『黒ひげ危機一発』は、今の子供にも通用するのだろうか?


・ゲーム開始

というわけで、ざっとルールを説明した後、いよいよゲーム開始! ドキドキしながらナイフを突き刺していく……と言いたいところだが、娘がナイフを刺していくスピードは尋常じゃないほど早い。違うよ、違う。そういうゲームじゃないんだよ……。殺し屋じゃないんだから

いまいち趣旨がわかっていないのか、中に入っている黒ひげがビックリする勢いでナイフを突き刺していくレイちゃん。当然ながら、まあまあ早い段階で黒ひげが飛び出した……のだが! ここから事態は一変する

飛び出した瞬間は特にリアクションのなかったレイちゃんだが、2周目に突入すると急に「やだ! やりたくない!!」と駄々をこね始めたのだ。どうやら黒ひげの初ぶっ飛びはかなりのインパクトだったようで「怖い!」と言ってゲームが遅々として進まない。

・本気で怖がる娘

なんとか「じゃあ、穴だけ選んでくれたら父ちゃんがナイフを刺すよ~」とか「飛び出したらゼリーをあげるよ~」などと誘ってみたが、残念ながらその後レイちゃんが自分でナイフを刺すことは1度もなかった。むしろ「怖いからもうやりたくない!」と絶縁宣言まで飛び出す始末だ。

これが黒ひげ危機一発の恐ろしさなのか──。私はむしろ感心した。それなりに年齢を重ねれば、キャッキャウフフと楽しめる黒ひげ危機一発だが、それでもいつ飛び出すかわからない怖さは常にある。このリアルな怖さこそ、黒ひげ危機一発が支持される最大の理由なのだろう。

また、親御さんならばご存じかと思うが、最近のおもちゃは揃いも揃ってハイテク & 高性能である。そんな中、ただ黒ひげがバネで飛び出すだけの『黒ひげ危機一発」が娘にここまでの恐怖を与えるとは……! 黒ひげ危機一発、さすがである。

・世代を超えるリアルな怖さ

娘は絶縁を宣言したものの、逆に言えばそれだけ大きなインパクトを残した証拠に他ならない。逆説的ではあるが、45歳の『黒ひげ危機一発』は今の子供にも余裕で通用した。そしておそらく45年後の子供たちにも、黒ひげ危機一発は受け入れられるであろう。

というわけで、黒ひげ危機一発の実力をまざまざと思い知った検証結果であった。絶縁宣言した娘も、いつか黒ひげ危機一発を楽しむ日が来るに違いない。まあ、でもわかる。俺も黒ひげ危機一発、苦手だもん。怖いもん。みなさんも機会があればぜひお試しいただきたい。

参照元:タカラトミー「黒ひげ危機一発」
Report:P.K.サンジュン
Photo:RocketNews24.