「焼肉」は他の外食と異なり、肉を焼く行為も含めて食事を楽しむ場である。その焼肉の楽しみをもう1段階引き上げたお店が誕生した。そのお店『焼肉キャンプ』は、まるでキャンプ場にいるかのような食事体験を提供している。

実際に利用してみたところ、“食事の場” を楽しむ仕掛けがいろいろと用意されていることがわかった。飯盒(はんごう)でご飯を炊いたり、チーズやベーコンをスモークしたり、コーヒーを自分で淹れたりできるのだ。これは流行りそう!

・ロースターとIHコンロ

私(佐藤)が訪ねたのは、東京・高島平の店舗。ここは2020年7月3日にオープンしたばかりだ。飲食関係者の間で評判が良いという話を聞き、行ってみたいと思っていた。お店を訪ねると、店内は開放的な空間を演出している。テーブル席の中央にはロースター。


そのロースターとは別に、IHコンロがある。ここで飯盒を加熱したり、お湯を沸かしたりする。


席の間仕切りにはレーン。回らない回転ずしでお馴染みのあのレーンを通って、料理が提供される。


・まずは飯盒ご飯を頼め!

いろいろと目移りすると思うが、まずは「キャンプ de 飯盒ご飯」(税別690円)を注文することをオススメする。理由は炊きあがるまでに時間がかかるからだ。加熱と蒸らしで計20分を要するので、1番最初に頼むのがいいだろう。


注文が完了すると、米の入った飯盒としゃもじ、それに厚手の革手袋が出てくる。手袋はやけど防止のために使用する。


IHに飯盒をセットして、スイッチをオン。タイマーに従って9分の加熱を行った後に、さらに11分の蒸らし。全部タイマー表示に従うだけなので、迷うことはないだろう。


・手作り燻製キットもある

ご飯が炊ける間に、肉を焼いて待つことにしよう。肉類は税別390円から1490円まで。ソーセージやベーコンはもっと安く税別290円だ。値段が安いだけでなく、種類も豊富。シャトーブリアンやスカートステーキなども揃っている。今回は飯盒のご飯を楽しむのが目的だったので、肉の注文は控えめ。



また、燻製を席で楽しめることも、このお店の魅力の1つ。「手作り燻製キット」(税別390円)は、3分間で仕上がるという。網に載せて砂時計で時間を見ながら、仕上がるのを待つ。


砂が落ち切ったのを確認してフタを開けると、サクラチップの華やかな香りが広がる。のってる! 煙がチーズにもベーコンにもしっかりのってるヨ!


・ご飯が炊けた

いろいろつまんでいる間にお腹が満たされそうになってしまうのだが、ここからが本番。ご飯が炊けました!


飯盒で炊いたご飯を食うのは、いつぶりだろうか? ちょっと思い出せない。それくらい久しぶりだ。炊き立てのご飯は、1粒1粒が光って見える。


これに焼き立ての肉をドドン! とのっけて、焼肉丼の完成。炊き立てご飯と焼き立ての肉をのっけた丼ぶりが不味いはずがない。美味いに決まっている訳ですよ、マジで!


・締めのコーヒーが旨い

ひとしきり肉とご飯を堪能し、締めは「淹れたてキャンプコーヒー」(税別290円)。その場で湯を沸かして、自らコーヒーを淹れる。


軽く湯を落として豆を蒸らし、そして静かにコーヒーを淹れていく。まるで厳かな儀式を執り行っているようだ。ほのかに立ち上るコーヒーの湯気が芳しい。外で嗅いだら、さぞ気持ちの良い香りなんだろう。あいにく室内ではあるが、その気分だけでも十分に味わえる。


・食事体験を楽しむお店

時計を見ると、席についてから1時間以上経過している。こんなに食事に時間を費やすことは、普段ならめったにない。1人焼肉ならもっと短い時間で食事を終える。なんだかんだで1時間以上もロースターの前に居たのは初めてかもしれない。それほど楽しかった。

正直、ご飯を炊いたり、コーヒーを淹れたりするのは手間だ。だが、ただ胃袋を満たすだけの食事とは違い、食事体験そのものを楽しめたように思う。ファストフード化しつつある焼肉に対して、こちらはスローフードのアプローチ。焼肉をもう1歩進んだ形で提供する次世代型店舗と言っていいだろう。

今は新型コロナウイルスの影響で外出も外食も控えめな向きがあるが、完全に収束したのちは、この手の体験型飲食店が流行る予感がする。飲食業界の未来を感じるぞ!


・今回訪問した店舗の情報

店名 焼肉キャンプ 板橋高島平店
住所 東京都板橋区高島平4-1-20
時間 11:00〜24:00 ※土日は翌1:00まで

参考リンク:焼肉キャンプ
Report:佐藤英典
Photo:Rocketnews24
[ この記事の英語版はこちら / Read in English ]